雨の中 熱のある我が子を 濡らさないように抱っこして 保育園で熱のある子は預かってはくれない そして、独身の上司に 「どうにかして、出勤しなさい」 そう言われ通話が切られる 悔しさから吐き出す言葉は 「お前にだけは負けねえよ、絶対。 お前みたいに小さい人間にだけは、ならねえよ」 だった 上の子を保育園に預け 熱のある下の子を抱っこして 電車を使い実家へ向かう 「母ちゃん、悪い」 「あいよ」 母はそう言って孫を抱っこする 俺はその言葉にどれだけ救われたことか 共働き そりゃ自分たちが選んだ道だけど 違うよな 子育てもままならぬ この社会の風潮や対応はおかしい でも 進んでいかなくちゃいけない この試練が俺を父親にしていくのだ 無理やりに思い込ませた そんな日々が続くと 精神より先に身体がダウンしてしまう けっきょく 病院で点滴ぶら下げ妻に負担をかける ちくしょう こんちくしょう 何年ぶりの涙だろう しかし 俺はこのことで学ぶ 家族を守る それは権利を主張することも大事だと 「子どもに熱があるので、出勤は出来ません」 はっきりした態度で 仕事を休もうが 上司にどう思われようが 与えられた年次休暇は使う そんなあたり前のことをどうして躊躇していたのだろう もう体裁なんて関係ない どんどん主張しなくちゃ良くならないだろう この社会 それから二十年近く経ち 共働きの子育て環境は相変わらず改善されていない 待機児童(保育園の入園を待たされる) 兄弟で違う保育園に通う まだ問題は山積みだ 改善を願う お母さん、お父さんたちが 子どもを保育園に送り迎いする姿 懐かしい気持ちと相まって 頑張っているな そんな声を掛けたくなるんだ