桜色の恋文
9月
18日
国から一通の恋文
まさか老体の私にこれが来るとは
子どもの頃
叔父の洗脳されていた話を思い出す
命を捧げることに疑問など持たなかったという
自分も国のためにバンザイと突っ込んでゆく
そんな歴史を繰り返す時が来た
何てことだ
今まで社会のために骨身を削り
ヨタヨタになるまで働き
家族の幸せを信じて
闘ってきたんだ
そんな私にも
あなたを愛しています
だからもっとお国を愛しなさい
弛まない志しで弾丸になりなさい
と
明日
軍隊が迎えに来る
衝撃は
恐怖に変換され
膨張し続け
ことの次第を把握すれば
バンッ
音を立て現れしは
怒りだ
政治に無関心だった自分への
怒りだ
手遅れの怒りだ
今まで何を勉強してきたのだろう
何のために生きてきたのだろう
なぜ流されてしまったのだろう
Love and Peace
この国は夢の島だったのか
悲しい歴史を乗り越え
辿り着く筈だったのに
弾丸になることで
見知らぬ国のひとを苦しめ
私は何処へ行ってしまうのだろう
愚かに繰り返す殺人兵器の一部になり
桜散ることを勇敢だと讃える
この国
いや違う
この国の本音は
桜色の恋文に花びらを散りばめて
歴史を繰り返し遊びたいだけなんだ
今
すべての心を失う
此れ無情
明日
軍隊が迎えに来る
桜咲く頃
桜の木は一本も無い