ル・マン24時間レース 回顧録⑪

画像は Autosport WEB から拝借

ヨーロピアンル・マンシリーズの模様
LMP2,LMP3,GTE各クラスが入り乱れる

新型感染症が世界的に深刻な被害をもたらした2020年。
この年、それでもル・マン24時間レースへの挑戦を見届ける必要があった。
その回顧録を自分視点で、記憶が曖昧になる前に残しておこうと思う。
※プライバシー配慮のため、人名等はイニシャル表記にする
※そんなもん、いまどき検索すれば出てくるだろうが・・・
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現在2023年、2020年ル・マン24から4年目を迎えようとしている。文章を一気に書いていると燃え尽き症候群のようになってしまい、前回から随分時間を経てしまったが、記憶をしっかり記録として残せるうちに少しづつでも進展させようと思う。

【始動-4】
2020年のル・マン24時間レースにLMP2クラスで出場することを目標に、そのためにやらなくてはならないこと。一番大きな問題は、どう考えてもそこに至るまでに必要になるであろう莫大な経費。下世話な話になるので敢えて触れはしないが・・風の噂で聞いたところによれば、アマチュアレーサーの夢を体現するために使うには耳を疑う金額だった。

しかし、カネさえあれば何とかなる問題でもない。用意する予算を、きちんと目標のために使うための人脈は不可欠だ。世界で戦うには、意外とココのところが難しいのではないだろうか・・。なにせ、悪だくみを考える人間は多い。夢の大きさに浮かれて経費勘定がドンブリになるという例は古くからあるし、それを上手く利用して上前をはねる悪人もいる。この点において、本当に幅広く深い信頼たる人脈に恵まれていることはY氏の人徳によるものだろう。

2018年シーズンのアジアンル・マンシリーズは所属チームがアジアベースだったが、2019年のヨーロピアンル・マンシリーズはイギリスベースのチームへと籍を移し、ヨーロッパのサーキットを転戦しながら引き続きLMP3クラスで車輛慣れの特訓となる。出来ればシード権獲得までを狙えれば盤石ではあるが、その「席」は世界中のル・マン24時間レースへ出場したいチームやドライバー達の超激戦区である。

それこそエントリーリストには、レース好きなら誰もが知っているような有名レーサーや名門チームがズラリと顔を並べているのだから。そうそう上手くトントン拍子とはいかないだろう・・と、正直なところ外から見ていて感じていた。

さて、4月の第1戦ポールリカールから5月の第2戦モンツァへと戦いの場を移した。そして、あの重大なインシデントが発生した。サーキットをレーシングスピードで走っていれば、誰にでも遅かれ早かれその時は必ずやってくる。

クラッシュ。
それも、走行即続行不能に至らしめるビッグクラッシュ。

あとからY氏本人の口から「クラッシュしてバラバラです」とは聞いたが、その実際の映像を見て血の気が引く思いだった。

現代では何年も前の映像やその他記録がしっかり保存されアクセスできるので、その場に居なかった者にとっても追体験の場が提供されていることは非常に有難いことだ。

いま、ご本人が元気でいるから良いようなものの・・
最近のレーシングマシンは規則により安全基準の引き上げが行われており、それこそ90年代以前の大クラッシュ規模でも生還率・生存率が格段に向上した。車輛の安全性に加え、ドライバーの装備品も年々進化している・・とは言うものの、ハイスピードクラッシュによる衝撃は大変なものである。

レースだから「クラッシュ!」とかエンターテインメント性を含め絶叫できるが、クラッシュ=事故であることを認識しなければならない。

さて、モンツァで発生した当時のクラッシュ映像が残っている。2019ヨーロピアンル・マンシリーズ・モンツァ4時間耐久レースでの映像である。
そして私が知る限り、レース参戦を続行するためにY氏はLMP3マシンを2台購入する羽目になったということだ。

レースの神は、時折厳しい試練を与える。

一歩ずつ、しかし着実に段取りをこなして2020年ル・マン24時間レースに出場することが目標なのだから。
(つづく)

※映像はImola(イモラサーキット)となっているが、正しくはモンツァサーキットである
#ルマン24時間レース

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