レーシングの仕事

あっしは30年弱の時間をレース屋として過ごして来た。それも、コンストラクター(製造者)のみを渡り歩いて来た。レーシングカーのゴリゴリのモノ作りと、走らせるレーシングチームとしての仕事をやって来た訳っすが、自分で云うのもなんだけど、これはなかなかレアケースだと思う。

何故かって・・・
レース業界は古今東西狭い社会だから、メカニックやエンジニアがあっちこっちのレーシングチームを渡り歩く・・っていうのは良くある話で、日本だとほとんどがこのパターン。
レーシングチームはプロからセミプロ、果てはアマチュアチームまで含めれば沢山ある。
また、実はプロ・セミプロチームはレーシングカーのメンテナンスを専門に請け負う会社だったりするのだけど、欧米に比べれば少ないとはいえ、まぁまぁ数がある。
だからレーシングカーを触りたい場合の就職先は、普通はそういったガレージ会社でメカニックやエンジニアをやることになる。

ところがコンストラクターとなると国内には数社しかなく、更に、これがまたコンストラクター同士の仲が悪い場合( ´∀` )もあり、国内コンストラクターを渡り歩くというのは・・なかなか、、な気がする。
昔はそういうパターンも多かったけど、もはやコンストラクターそのものが限られる現在では、、どうだろう?
そんな訳で、ゼロからのレーシングカー作りを経験しているメカニックは意外と限られてくる。

幸いなことにあっしの場合は、関西のコンストラクター・関東のコンストラクター・イギリスのコンストラクター、アメリカのコンストラクター、、という、カテゴリーがよほどバッティングしないところを綱渡りして来たっすよ。

コンストラクターそれぞれに強味弱味があって、その性格がレーシングカー作りに根深く反映されるのは当然と言えば当然で、それが面白いところ。
まあ、広い意味で言えばガレージ会社やレーシングチームにしたって、結局その性格や得意不得意に振り廻されることになるっすけど。

例えばモノ作りで例えるなら、1つの機能部品を設計するとしたら、同じ機能性でもそのアプローチは10人10色。当人は適材適所のつもりでも、その性格は凄く出る( ´∀` )
やたら溶接で仕上げる人、やたら削り出しにこだわる人、もはやCFRPに走る人。
ネジが好きな人、リベットが好きな人、接着が好きな人。
ネジ一つとっても、規格マニア、材質マニア、形状マニア、色々ある。

これがレーシングチームの現場レベルで例にするなら・・
セッティングのアプローチが10人10色。
スプリングやダンパー、スタビをいじり倒したいアプローチもあれば、エアロダイナミクスに軸足がある人。
勿論、車輛や規則によって差異が出るのだけど、それでも最後の最後にどういう所に価値観を見出しているか・・で差が出る。

こうなると、やっぱりレーシングって人間の闘いなんすよね。
AIがモノ作りやセッティング指南するようになれば、短時間で効果的な策略を絞り出すだろうけど、たぶん画一的で個性的な感性は捨てる事になるっすよね。
・・・現在販売されている乗用車のように。

ワオ!と言っているユーザー

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人間の手で作り出すものには、神が宿っていると信じています。
AIやITを否定するわけではありませんが、建築設計を生業としていましたが、線の一本に魂を込めて図面を描いていました、この時代にCADを使うことなく仕事をしていました。職人さんが手で作る作業には、機械ではなく人間が書いた図面でこたえなければいけないとアナログ人間でしたが、また喜びでもありましたね。(苦笑)
投稿日 2021-09-05 20:39

ワオ!と言っているユーザー


なるほど、人の手技には神が宿るというのは素晴らしい言葉ですね。
神が宿るまで突き詰めたモノ作りは、減りつつ有るかもしれません。

人が引いた線や記号、数字の図面は、その方の生きざま全てが透けて見えますので、ほとんど個人情報ですよね😃

それにしても、CADの進歩によって、画面上でねじったり空気の流れを見たり、凄い時代ではあります。
投稿日 2021-09-05 21:06

ワオ!と言っているユーザー

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