◇◇◇桜物語◇◇◇ ◆桜の章◆ 1
9月
21日
桜 の 章
序章
私の名は、榊原祐里。三歳の時に父母を山崩れで亡くし、桜河のお屋敷にお世話になった。母が私を産むまでの数年間、お屋敷の手伝いに通っていたことがあり、旦那さまが孤児(みなしご)の私を引き取ってくださった。
祐里の『祐』は、光祐さまの『祐』。父母がお屋敷のご長男・光祐さまに肖って、私に祐里と名付けたと、後に婆やの紫乃さんから聞いた。
お屋敷での私の仕事は、光祐さまの遊びのお相手だった。
中学生になられた光祐さまは、都の学校へと進学された。
「光祐さまが都にお出でになられましたら、祐里のお仕事がなくなってしまいます。祐里は、お屋敷を出て行かなければなりませんの」
光祐さまが都に発たれる前日、私は、恐る恐る光祐さまに問うた。
「ぼくは、しっかり勉強をして立派な男になって、祐里のもとに帰って来る。祐里は、ぼくのお嫁さんになるのだよ。それまでの祐里の仕事は、父上さまと母上さまに甘えて、お二人を淋しがらせないことだ。頼んだよ、祐里」
光祐さまは、私の手を握っておっしゃった。
投稿日 2008-09-21 16:15
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投稿日 2008-09-21 16:23
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投稿日 2008-09-22 07:25
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投稿日 2008-09-22 15:39
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