まるで桜の後を引き継ぐようにして、ヤマボウシは柔らかな緑を差し出してくる。
その葉はまだ薄く、陽の光を透かしてキラキラと輝いて見える。
見上げれば、その姿はどこか控えめで、けれど確かに「春はまだ続いているよ」と語りかけてくれるようだ。
季節ごとに変化する姿は、私たちの暮らしの時間を静かに見守り、寄り添ってくれているようで、ふとした折にその存在の大きさに気づかされる。
桜のような華やかさはないけれど、ヤマボウシにはヤマボウシの美しさがある。
春には若葉、初夏には白い花、秋には赤く色づく実と紅葉。
何気ない日常のなかに、確かな季節のリズムを刻んでくれる。
若葉の芽吹きは、新しい季節の始まりを告げる合図。
私もまた、ヤマボウシに倣って、小さくても新しい一歩を踏み出してみようか。