■反論■
人と比べることや競争を否定的にとらえる心理学者も多い一方で、それがむしろ人間の普遍的な心理と考える学者も、実は少なくない。
その代表格と言っていいのが、『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)で、日本でも有名になったアルフレッド・アドラーだろう。
「人間には“優越性の追求”という普遍的な欲求がある」と考えた。
これがうまく満たされないと、劣等感というものを感じるのだが、それが人間のパワーになると考えた。ただし、この劣等感があまり強くなりすぎたり、あきらめにつながったりするようないびつなものになった場合に、これを劣等コンプレックスと呼んでいる。要するに、「どうせ負けるんだから、やらない」といって勉強しないようなパターンだ。
アドラーは、「勇気づけ」といって、このような劣等感を抱く際に、やれば勝てるはず、やればできるはず、と思わせることの重要性を説いている。
要するに人と比べた際に、それですねたり、あきらめたりするのでなく、それを頑張る原動力にできればいいと考えるのだ。