私の大先輩のライターのTさんは「外国文学は読まない!」んだそうです。その理由は「どうもあの違和感ある日本語がダメ。物語に入れない」。 何となく分かる気がします。翻訳に携わる者なら誰でも持つジレンマですが、英語原文へのリスペクトか、それとも自然な日本語に意訳するか。 しかし単語をちょいちょいと変えるだけでは自然な日本語文にはなりません。なぜなら英語と日本語では文の構造自体が違っているからです。もっと言えば、構造が違っているのはその背景にある文化が違っているからです。 例えば英語を翻訳しているとよく出てくるのが、形容部分がやたらに長い文章です。英語は文の構成上、何を主題としているかが最初に出てきま...