思わず嘘をついてしまった
4月
30日
ジムのグループクラスでいつも見かける女性がいました。褐色の肌で、ラティーノのようにも見えますが、アフリカンアメリカンかもしれません。なんとなく、優しいオーラの漂っている人でした。
それで先週、いつも会うのだからと思い切って、「あなたの髪、とっても素敵ね」と話しかけてみました。髪のことは決してお世辞ではありません。ピンク色の髪がくるくると輝きながら腰までおり、まるで人魚姫のようだったのです。
すると、髪は自分でカットして、自分で染めているのだと教えてくれました。「ネイルもね」。見せてくれた指先はまるきりプロ仕様。それでいて仕事も美容系ではなく、カジノのディーラーだそうです(さすがラスベガス、もうディーラーの知人は4人目)。彼女の名前はネッシュ。
ネッシュは私に質問しました。「どこ出身?」。日本だと答えると、自分は日本人が大好きなんだと、いつか日本に行きたいと言ってくれました。「私はね、日本人のお客さんだと思ったら、すぐに私のテーブルに呼ぶのよ。遠くからでも日本人はすぐに分かる」。
「どうして日本人だとわかるの?」「日本人はとても礼儀正しいから一目瞭然。同僚と、こんな話をしたことがあるわ。どの国の人が一番礼儀正しいと思う?って。そしたら誰もが日本人だって答えたわ(そして小声で、「一番礼儀正しくないのは、中国人」)」。私は自分の国を褒められて、くすぐったい気持ちでした。
それで私も、英語にアクセントのあるネッシュに「あなたはどこから?」と尋ねてみました。すると彼女の答えは「Eritrea」――「ん?もう一度言ってくれる?」「Eritrea」。
ここまで日本のことを褒めてくれたのに、私は彼女の国の名前すら分からず、これは大変失礼なことではないかと焦りました。その挙句、つい言ってしまいました。「あーー!聞いたことがあるかも…」。
後で調べてみるとエリトリア。アフリカにある人口550万人の国でした(「アフリカの北朝鮮」の異名を持つ)。
これを夫に話すと、「るーは嘘をついたんだ。知らないって言って良かったのに」。あんなに日本を褒めてもらった後で、「あなたの国、知らない」とは本当に言いにくかったのです…。でも夫も知らない国だったことに勢いを得て、私も知らないと言って良かったんだと気付きました。