ブログスレッド
- 今さら『人間失格』を読む
アメリカ在住のため、日本語の本を全て電子書籍で購入している私は、もっぱら古い本ばかり読んでいます。なぜ?――安いからです(笑)。新刊本は1冊1500円超なんてざらですし、そもそもあまり電子化されていません。
それで、わずか160円で何となく購入した『太宰治全集1』。太宰作品はいくつか読みましたが、この全集1のしょっぱなを飾る『人間失格』は、十代の頃、手に取り、「く、暗すぎる」とギブアップしたものでした。
さて、あれから数十年経った今、どう思うかしらん――読んでみると、まるで渦巻きに吸い込まれるように没頭してしまいました。若い頃は「これを読み終わると、自分も死にたくなるのか」と、空恐ろしかったのかもしれません。
読んでいる間は、虚ろに歩く主人公の体の中に自分が入って行くような感覚を覚えました。そして最後は、ただ諸行無常の人生を生きるのみ、ということに気付かされます。でもそれが希望であるか、絶望であるかは分かりません(脱稿のわずか1カ月後に太宰は自殺)。