映画という最強のイメージ戦略
10月
30日
私が韓国に住んでいた90年代はもう100%、韓国映画に出て来る日本人はとんでもない卑劣な奴ばかりでした。残酷であり金の亡者でもあり、さらには変態。物語中にさりげなく入るプロパガンダ的セリフ、「桜(空手なども)は本当は韓国が発祥の地なのよ」なども目立ちました(今はどうでしょ?)。
私は日本人だから「おいおい」と思いますけど、そういう映画を見て育つ韓国人にとっては、私たちがいくら浅はかだとなじろうと、真実のように感じてしまう可能性大。また、これを見た外国の人も同じような印象を持つかもしれません。
そして今、韓国映画やドラマがまるで大波のようにアメリカに届いています。
思えば、2001年に日本で公開された映画『JSA』の俳優陣を取材した時のこと。あの時、アンソンギさんに言われて印象に残った言葉が「韓国政府は映画産業を支援している」「いずれ韓国を(当時アジアの映画産業の中心地であった)香港のようにしたいと思っている」でした。
あの時は「まさか、韓国が香港になるなんて」と思いましたが、2020年の今、韓国は本当にアメリカのエンタメ業界で香港どころじゃない大きなコンテンツとなりました。今ではNetflexには「韓国映画・ドラマ」というジャンルがあり、ゴシップ系のニュースサイトにもKポップスターの情報が当たり前のように載っています。
私の英語プライベートレッスンの先生はアメリカの高校生なのですが、彼女もうっとりとして言います。「旅行したい国は韓国!私も友人も皆、韓国料理も食べに行くし、韓国ファッション、韓国コスメにも夢中なんです!」。
韓国の美男美女が映画の中で日本の悪口を言えばその影響はいかばかりか。韓国政府はこの最強のプロパガンダ法とイメージ戦略、そこから派生するあらゆる購買を20年以上前に予測していたのでしょうか。だとしたら、あっぱれとしか言いようがありません。
日本と韓国のエンタメで違うのは、韓国のエンタメが実にハイクオリティーであること。ドラマの「金持ちと貧乏」「有名人と一般人」「不治の病」のような素材はしばらく見ていると飽きるにしても、映画の重厚感やBGMを含む美的演出はハリウッドのそれに引けを取りません。
また、歌手なら、歌、踊り、どちらも秀逸で、見た目はクールビューティー。日本のエンタメは、踊りは上手でも歌は学芸会程度でOK、見た目は「どこにでもいる親しみやすさ」もしくは非常に幼い少女…言ってみればロリコン系。これはなかなか世界に打って出られません。この土壌は悩ましい。
人間は目で見る美しさに弱いもの。裁判官でさえ、美人の犯罪者には軽い量刑を与えてしまうほどのこの世界で、日本もそろそろ「美しさ」で魅了することに尋常じゃないほど力を入れる時がきています(性能はもうばっちりですから)。
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