58年前、夫の仕事の関係で神奈川県に引っ越し、小さな団地での生活を始めました。
当時、多くの人が「いつかは一軒家を」と夢見る時代でしたが、私はそうは考えませんでした。
大きなローンを抱えることは人生の足かせになると感じたからです。
私は、家族の顔が見える小さな家が好きでした。
それに、実家の商売を通して借金の怖さを知っていたこともあり、「団地のままでいい」と思ったのです。
50㎡ほどの小さな部屋で、最初は家族5人で暮らしていました。
子どもたちが独立し、10年前には夫も先立ちましたが、私は今もここで変わらず暮らしています。
狭くて古いけれど、家族の思い出が詰まったこの家は、私にとって大切な「お城」です。
自分なりに工夫して居心地よくしてきたからこそ、ここにいることが幸せなのです。