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投稿日 2019-11-28 15:22
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
草の小籠に ふじ額いのつゆ草 ねんねこよ 沖まで きょうは浅瀬だな ひかって ひかって めにしみるな たんぽぽの 綿毛のふとんで ねんねこよ 風にねて 風にねて ほっと ひとつ飛べばな 自在の夢のつぎつぎ ねんねこよ 鳥のねぐらの岩棚で かえらぬ卵も ねんこよ お、おおおお ねん...
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投稿日 2019-11-28 15:21
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
烈しい防御の紀元から 薄いセルの瞳 ひとつ ほどけ くるぶしの夢から 身を這い出しわたしの五月の寝床で おまえを柩とするという 乱暴な五月の指先で わたしの舌が混紡にほどけ つややかな貝の 渦巻きをなぞると わたしの脚のあいだに 貝は眠り 世界の未明を るるる 僅か回した あれは明滅する烏 ゆらふら...
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投稿日 2019-11-28 15:19
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
あの日 夕陽の阿比と ふたり 真っかな氷(シガ)コにとけて 何処まンで 何処まンでも ながれていった 阿比は 鬼ユリかげろうもえて 阿千は オヒメになりてえな 岸と岸の 真ん真んなかで ふたり 真っかな氷コになって 何処まンでも ...
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投稿日 2019-11-28 15:17
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
夏の蕚(うてな)が 揺れるたび 風は 梢にとまり カガヤキノイタダキデ よぞらを裂く マタタクカラユレナイ草 霧(き)れない野 カタコユリ 小舟の水尾は むらさきで打たれる 岸は水に コトリ ほどけて 瑠璃 さえずる まわるカガヤキ 草群がる川...
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投稿日 2019-11-28 15:07
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
渚に消えた匂いを 林で愛しあう百葉箱の時限 テトテト テトテト 巻の円陣を抜け出す章が 朝霧と溶岩に見るいちめんの秒 うちあげられた窪みに 海胆は むらさきの宵宮 ワタシハ誰カ マダ誰モ居ナイ ワタ沁ミ出デ 月ニ光レバ 波がくれば 窪の底 揺らぐ音に 絡操(カラクリ) 鴨居は紅く 男が流れつく昔 *...
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投稿日 2019-11-28 15:04
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
夕べ荊原(ばらはら)は淋しいかと 狐にたずねる もみじの簪まだあるか 恋しければという道は コンと鳴けば 無明の甘さ 切って落とされる 村はずれは南無妙 南無狐狐 狐狐媽媽 南無媽媽 南無妙 媽媽狐狐 南無妙 南無媽媽 南無南無媽媽 南無妙 媽媽南無 南無妙 荊原を過ぎれば 石ノ上 看板の剥がれたペ...
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投稿日 2019-11-28 14:56
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
法と月光を 踏み分けて 岩と星 兕(けもの)たちの市に 人買いはやってくる クローバーの群落ごとに あるいは早くも 兕の背に揺れて まだ誰も触れていない児は もぐらの仔どもらの上にいびきかく 木を組んで櫓をたてて 人買いは一晩中、酒をのんだり、手で頭を掻いたりしている あたたかい海霧(ガス)の匂いを...
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投稿日 2019-11-28 14:50
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
イヌイという町で 「やあ海霧がでてきたな」 「おお そろそろ帰るとするか」 夕日が沈めば 船頭と網元が挨拶をした 兕(けもの)森で迷っても 「やあ海霧よ 帰るとするよ」 乾いた落ち葉が ぬれるところで耳にする 「きつねのぶどうはあったかい」 「さるのこしかけで寝てたのかい」 風に零して 男たちは笑...
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投稿日 2019-11-28 14:47
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
お前様につくってもらいたい お前様の好きなようにつくってもらいたい いつでもいいものがあれば そのいつを いつと決めるのがここではむつかしいのじゃ いつでもいい だれのものでもない どこにうまれおちようとも 天に爪先だてても滸呂裳(ころも) (モモンガが 飛ぶん とき モモンガで 在るん のです 神...
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投稿日 2019-11-28 14:45
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
親指と人指し指のくらがりで ごろすけほうと ふくろうが鳴けば 浜のはずれの家から 精悍な男の影が岬へと歩いていく 三年目の秋 滸呂裳(コロモ)は死んだ おれは 何をするのだか考えちゃいなかった 流れ着いて 奇跡というのか たいした奇跡だった あいつは目が悪かった それで 何でもおれの思いが動けば ぼ...