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ダニ地獄に飛び込む夫

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正装するとヤクザ風の「強い人」 正装するとヤクザ風の「強い人」


先日、夫は違う星から来た強い人と書きましたが、「強い人」というのは――あくまでも私の夫のことですが――「雑な人」でもあります。親戚5人が泊まりに来るからと、埃だらけのブランケットを全て洗い直してしまう私は、時間に追われ、息も絶え絶えになる「弱い人」です。ところが夫は常にくつろいだ様子で、来客当日も、私がわずか1.5時間家を出た間に、洗っておいた部屋のど真ん中の山盛りのブランケットは見えなかったようで、クローゼットの奥の奥から私も忘れていたような、10年以上の埃がたまったブランケットを発掘し、訪れた親戚の子供に埃ごと投げつけていました。それでいて子供たちは大喜びなんですから、雑な人がどれほど最強か思い知らされます。

ある時、私と夫は小旅行に出て、Airbnbのヴィラに泊まりました。到着するや否や、夫は「布製」のカウチにゴロン。一方私は、布製の、拭き掃除ができないカウチには座れない「弱い人」です。革製だったら、座る前に拭けるのですが…。見ると、これまで泊まった人たちが付けたシミもありました…。

そんなカウチで30分ほど昼寝をした夫が、全身をボリボリ搔きながら起きあがってきました。「ダニがいるな」(夫)。私は彼の手足を見て、ギャッと飛び上がりました。思いっきり噛まれています!腕と足がぎっしりボコボコになるほど、ダニに噛まれています!

これが私だったら、「宿に着いた途端、こんな悲劇に遭うなんて」と、地の底まで凹むでしょう。が、実際それはカウチだけの問題ではなかったのでした。「べ、べ、ベッドにもダニがいるかも!私、とても眠れない!」。体調不良から辛うじて回復しかけた頃の、回復記念旅行でもあったため、3泊の旅のベッドにダニがウヨウヨなんていう地獄に、私の体と心はとても耐えられそうにありません!

すると、目を真っ暗にしている私を見た夫が、ダニ地獄かもしれないベッドにジャンプ。「俺で試そう!Bite me~! Bite me~!(俺を噛め!俺を噛め!)」。それは、なんだか楽しそうな響きすらある声でした…。

グーグー(いびきの音)――1時間後、しょんぼり木製の椅子に座っていた私の所に、夫が戻って来ました。「ベッドにダニはいなかったよ!安心してね!」。「雑な人」にいらつくこともあるのですが、その雑さを喜ぼうと、その時私は心に決めたのでした。



#ダニ地獄

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