ヨンソンという不思議な男
9月
12日
この前、ヨンソンという旧友について書きましたが、彼はなんだか不思議な男です。出会ったのは90年代前半。ヨンソンが日本の大学に留学していた頃に飲み仲間になりました。
ヨンソンはお世辞にも美男子とは言えない風貌で(ごめんね)、背も163センチの私より小柄かそれくらい。それでいて、実に堂々としていて、動作だけでなく話し方にも自信があふれています。何かあったときも、焦った姿を見たことがありません。
そんなヨンソンは25歳やそこらで、私たち友人の中では一番早く故郷の恋人と結婚してしまいました。両親と同居している家に泊まらせてもらった時、初めて奥さんを紹介してもらったのですが、彼女がまた度肝を抜くような美人!しかも美人なだけでなく、ヨンソンやヨンソンの両親の言うことを静かに聞いて、こまめに働き、常に数歩下がった姿勢なのです。ヨンソンにただの一度も口答えしたことがないそうです。
私がソウルに暮らし始めた頃、彼はなぜか宝石商になっていました。インドかタイだとかに買い付けに行くと、ヨンソンの前に宝石袋を携えた商人がずらりと列を作るんだ、と。どこで身に付けたか、ヨンソンは出される宝石を顕微鏡か虫眼鏡かで覗き、これはアウト、これは合格と分けていくのだそうです。
10年ほど前にはいきなり、家族を連れてフィリピンに引っ越してしまいました。これまたいつ身に付けたか、ばりばりのダイビングインストラクターに転身していて、フィリピンにダイビングスクールを開校。彼のSNSには、ほぼ10年間にわたって毎日、生徒や仲間との楽しそうな写真がアップされています。
ヨンソンを見るといつも、「あの底なしの自信と迷いのない行動力はどこから来るのだろう」「かっこいいヤツだなあ」と至極感心してしまう私です。
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