● BCA土曜学校のコラムVol.94●
面
BCA土曜学校幼稚部と小学部では、希望によって対面とリモートを選択した授業が始まりました。同じクラスの中で、教室で学習する人と画面に映るリモート学習の人が一緒に学ぶシンクロ学習です。
8ヶ月ぶりに教室で対面授業を行った先生も、先生の顔を見て授業を受けた子ども達も
ソーシャルデイスタンスに配慮しながらも充実した時間を過ごせたようです。面と向かって、お互いの表情や息づかいを肌で感じて行う授業はやはりよいものです。
「対面」は、顔を合わせてあうこと。互いに向き合うことの意味です。
対面の「面」は、目だけ表れている仮面の形です。神事的な儀礼の際にはいろいろな仮面が使用されていたそうで、それがのちに顔面の意味となり「おもて、かお、つら、むかう」の意味として使われるようになったと言われています。人の頭部の象形と顔の輪郭をあらわす囲いから、成り立ったという説もあります。
語源を考えると、「面」は、顔をはじめ、仮面、 顔面を保護するためにつける防具、頭部を打つ剣道の技、などの意味があることが頷けます。他にも平らな広がり、広がりはあるが厚さのない図形、建築で角材の稜角を削り落としてできる部分、方面など多くの意味を持つ漢字です。
対面のように、下に「面」のつく二字熟語だけでもたくさんあります。
○外面(がいめん) 外から見えるようす。見かけ、うわべ。
○局面(きょくめん) 物事のその時の状況、状態。勝負の形成。
○紙面(しめん) 紙の表面、手紙、新聞などの記事。
○渋面(じゅうめん) 不満そうな顔つき。しかめっつら。
○図面(ずめん) 建物、機械などの構造や工程を細かく示した図
○赤面(せきめん) 恥じて顔を赤らめること。恥じること。
○体面(たいめん) 人が世間に対して持っている誇り。世間体。
○直面(ちょくめん) 面と向かい合うこと。物事に直接対すること。
○当面(とうめん) じかに向き合うこと。まのあたりにすること。
○内面(ないめん) 物の内側の面。心の中。
○能面(のうめん) 能に用いる仮面。
○満面(まんめん) 顔中、顔いっぱい。
○文面(ぶんめん) 文章でその表現が直接示している事柄。
○強面(こわおもて) 他人をおどしつけるようなこわい顔つき。
鬼のように恐ろしい外見でありながら、仏のような優しい心をもつという意味の、鬼面仏心(きめんぶっしん)をはじめ、四角四面(しかくしめん)、四面楚歌(しめんそか)、喜色満面(きしょくまんめん)、効果覿面(こうかてきめん)、面目一新(めんもくいっしん)、面目全非(めんぼくぜんひ)、因果覿面(いんがてきめん)、人面獣心(じんめんじゅうしん)などの馴染みの四字熟語もことわざも多い漢字です。その人の特徴を最もよく表す「面」だからですね。
人と人が理解しあうためには、実際に顔を合わせて話すのが一番ですね。
早くこの状況がおさまり、以前のように何の気がねもなく人によりそい笑い合える日が戻るを願ってやみません。