● BCA土曜学校のコラムVol.61●
「言葉を豊かに」
美しい緑とさわやかな風、ベルビューは夏に向かうとてもよい季節を迎えています。
鳥の囀りが聞こえる朝、夜8時を過ぎても沈まない太陽、キラキラ光る湖面、どこにいても素敵な時間が過ごせる6月です。
小学部の5年生と基礎国語で漢字の成り立ちについて学習しました。
今から3千年以上も前に中国で生まれた漢字を、アメリカの皆さんが学ぶことはとてもすごいことだと改めて感じています。
鳥が鳴くの「鳴」は「口」と「鳥」を組み合わせてできた漢字です。二つの字を組み合わせて新しい意味を表しています。
鳥は鳴くことでメッセージを伝えています。鳴くのはオスで、縄張りを宣言したり、仲間に危険を知らせたり餌があることを知らせたり、求愛のためにメスを呼んだりしているのだそうです。
鳥や獣や虫は「鳴く」と表記するのに対して、人間の行為は「泣く」と書きます。
泣くの「泣」は、流れる水と手足を広げて立つ人を組み合わせてできた漢字です。涙がじわっと出てくる感覚は、喜怒哀楽の感情を持つ人間だけがもつものです。
「喜」は、よいことに出会って非常に満足し嬉しく楽しく快い気持ち。
「怒」は、不満・不快なことがあって、がまんできない腹立たしい気持ち。
「哀」は、胸がつまるように切なく、心が痛んで泣けてくるような気持ち。
「楽」は、心が満ち足りて,うきうきするような明るく愉快な気持ち。
人は嬉しい時も、腹が立つ時も、悲しい時も、楽しい時も涙を流して「泣」きます。
哀泣(あいきゅう) 感泣(かんきゅう) 泣顔(なきがお) 泣言(なきごと)
泣虫(なきむし) 号泣(ごうきゅう) 啼泣(ていきゅう) 泣上戸(なきじょうご) 泣別れ(なきわかれ) 泣落し(なきおとし) 男泣き(おとこなき)半泣き(はんなき)
泣叫ぶ(なきさけぶ) 泣付く(なきつく) 泣伏す(なきふす) 泣尽す(なきつくす) 悔し泣き(くやしなき) 泣寝入り(なきねいり) 人泣かせ(ひとなかせ)
忍び泣き(しのびなき) 嬉し泣き(うれしなき) 泣明かす(なきあかす)
泣崩れる(なきくずれる)など
「泣」を含む言葉だけでもたくさんあります。
自分の気持ちをできるだけ的確に相手に伝えられるように語彙を増やして、私たち人間だけが持つ言葉で、人間だけがもつ感情を、豊かに表現できるようにしていきたいですね。
皆さんはどこでどのような夏休みを過ごすのでしょうか。
夏に五感で感じたことを、自分の言葉で表現してみてください。きっと想像力が膨らみ、言葉のイメージが広がることと思います。
では、よい夏休みを。