BCA土曜学校のコラムVol.41 〜 紡ぐ〜
「紡ぐ」は、 綿や繭を錘(つむ)にかけて繊維を引き出し、よりをかけて糸にするという意味です。「思いを五・七・五の言葉に紡ぐ」のように言葉をつなげて文章や詩歌などをつくる場合にも用いられ、頭に浮かんだ言葉を一つずつ引き出して美しい文章や詩歌にしていく時に使います。
「紡」は「糸」と「方」の二種類の漢字の組み合わせでできています。
「糸」は繊維をねじり合わせて結束した強度の強いより糸のことです。
「方」は農業で畑を耕す時に使われる農具のすきのことです。すきを使う時は人間が並んで耕すことから「並ぶ」や「傍ら」を意味する言葉として生まれました。
「糸」と「方」を合わせて「より糸を並べる」。とても素敵な言葉だと思います。
細長いものをつなぎ合わせるという意味の「結ぶ」と似ていますが、語源をたどるとその違いが見えてきます。
国語1の皆さんと、「空を見上げて」を読み言葉の持つ力について考えました。
これは、東日本大震災の被害を受けた女川町の中学生が「紡ぎ」出した言葉が、日本はもとより世界の人々を動かしつないでいったという文章です。
読解後、女川の中学生の五・七・五を受けて、自分達が七・七を「紡ぐ」学習を行いました。中学生の辛く悲しい心をしっかりと受けとめて、励ましの気持ちがこもったあたたかい七・七を紡ぐことがができました。
○みあげれば がれきの上に こいのぼり(女川)
光に向かって 登っていこう(アメリカBCA)
未来の光で 照らされて(アメリカBCA)
○夢だけは 壊せなかった 大震災(女川)
希望なくさず また立ち上がる(アメリカ BCA)
希望の心 これからの生活(アメリカ BCA)
○なくなった また一からの スタートだ(女川)
希望の道へ 百までいどむ(アメリカ BCA)
希望なくすな 仲間はいる(アメリカ BCA)
○逢いたくて でも会えなくて 逢いたくて(女川)
同じ空の下 またきっと遭える(アメリカ BCA)
つのる思いは あなたのもとへ(アメリカBCA)
その後の友達の紡いだ七・七を鑑賞し合う学習では、友達の七・七がさらに心に響いて、優しい「ほめほめ鑑賞文」が紡がれました。
言葉で心がつながることを実感できたいい時間でした。