BCA土曜学校のコラムVol.23~百人一首~
日本では、百人一首が題材の青春物語「ちはやふる」が、ストーリーや競技かるたの迫力ある試合描写が評価されて漫画や映画で大人気となりました。
お正月を迎えたBCAでは、中髙生の皆さんと「百人一首を楽しむ」時間を持ち、一文字聞いただけでとれる札で練習し、早く取る楽しさを知ったあとに競技かるたを体験しました。
送り札などのルールはもちろん、お辞儀も含めた作法もすぐ覚えるのはさすがBCAの生徒さんです。伝統的な日本の遊びに、2018年をアメリカで生きる皆さんが真剣に取り組む姿に感心させられました。
百人一首は、藤原定家が奈良時代から鎌倉時代の代表的な歌人百人の秀歌を一人一首ずつ選び、色紙に書いてふすまを飾ったのが最初とされています。その編集作業が小倉山の山荘で行われたことから「小倉百人一首」と呼ばれるようになりました。
選ばれた歌は、一番の天智天皇から百番の順徳院までのおよそ550年に及びます。出典は「古今和歌集」が24首と最も多く、男性の歌が79首、女性の歌が21首。内容は恋の歌が43首、季節の歌が32首、その他が25首です。
2首紹介します。
「しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで」壬生忠見
◇あなたへの思いを心の中に秘めてきたけれど、顔色や表情にでてしまったようです。「恋をしているのですか。」と人に尋ねられるほどに。
「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 から紅に 水くくるとは」在原業平
◇遠い昔の神代でさえも、こんな不思議で美しいことは起きなかったでしょう。竜田川が舞い落ちた紅葉を乗せて、鮮やかな紅色の絞り染めのようになるなんて。
人を愛する心や美しい風景に感動する心は、千年も前から同じであることが伝わってきますね。
時代を超えても国を超えても変わらない人の感情や人の生きる姿が、言葉を介して今につながり、そして次の世代に受け継がれていくことに言葉の重みを感じます。
先人の思いをのせ、長い年月を超えてきた価値ある作品はすばらしいと改めて思った時間でした。