10月25日 【コラム Vol.15】~心を重ねて~
「キンモクセイ ほのかな香り 秋深し」国語1の生徒さんの作品です。
彼女は、俳句を詠むので秋をイメージしてくるようにという課題を受け、日本のおばあちゃんに電話をして、金木犀の香りを「秋深い」という言葉で表現するとよいと教わって授業に臨みました。そして、「秋深い」のは秋のどの時期をさすのか、どのような言葉を選んで十七音を使えばよいのかじっくり考えました。俳句の中に、おばあちゃんの心も重なって見えるようです。
次の授業は、東日本大震災で傷ついた女川の中学生たちが詠んだ五・七・五に、日本国中さらに世界中から連句のような返信が返ってくるという活動が紹介されている文章を読みました。言葉は人の心を動かし、癒したり励ましたりする力を持つことを読み取る学習です。
読解後、秋をテーマにして自分達が詠んだ俳句と比較しながら、女川の中学生の気持ちを考え、続きの七・七を加えました。女川の中学生がおかれた悲惨な状況と深く傷ついた心を捉えて、その心に自分の心を重ねた言葉が生まれました。
夢だけは 壊せなかった 大震災(女川)
みんなで光ろう 希望のように(アメリカ BCA)
未来に向かって みんなでファイト(アメリカ BCA)
なくなった また一からの スタートだ(女川)
それでもまっすぐ 上を見上げる(アメリカ BCA)
希望なくさず またたてなおす(アメリカ BCA)
逢いたくて でも会えなくて 逢いたくて(女川)
逢いたいからこそ あきらめないぞ(アメリカ BCA)
また逢えるよ 心の中で(アメリカ BCA)
俳句や短歌のような短い韻文では、言葉の選択が起こることで学びが深まります。
そして言葉は、人の内面をつくり出す力を持つ一方で、人と人とをつなぐ力も持っている。国を超えても・・・。
そんなことを改めて感じた学習でした。