生涯忘れられない出来事
12月
29日
お久し振りです。
いきなりしんみりとした話で恐縮ですが、いつも年末年始になると思い出されるのは今は亡き先代館長、藤野進先生の最期の日々です。
平成16(2004)年の秋頃から体調を崩されていた藤野先生は、同年12月26日に緊急入院すると、9日後の平成17(2005)年1月4日に、癌によりあっという間に帰らぬ人となってしまいました。
大の病院嫌いと生来の我慢強さのせいか、あるいは長年の武道修行(空手道と合氣道)で培った忍耐力のためか、入院直前まで氣丈に振舞っておられましたが、相当無理をされていたのだろう・・・ということが今更ながら偲ばれます。
大の病院嫌いと生来の我慢強さのせいか、あるいは長年の武道修行(空手道と合氣道)で培った忍耐力のためか、入院直前まで氣丈に振舞っておられましたが、相当無理をされていたのだろう・・・ということが今更ながら偲ばれます。
さて、そんな藤野進先生が昭和58(1983)年に立ち上げられた合氣道練心館道場ですが、実は、令和5(2023)に道場創立40周年を迎えていました。
令和5年(2023)年と言えば、5月に新型コロナウィルスの感染症法の位置付けが季節性インフルエンザと同じ5類に移行し、緊急事態宣言もまん延防止等重点措置もようやく過去の話となりつつある状況でしたが、まだまだ社会が完全に正常化しているとも言い難く、何よりも、コロナ禍で道場の生徒さんが減ってしまったこともあり、殊更に40周年記念のイベントも何も行われないまま過ぎてしまいました。
そんな令和5(2023)年、道場創立40周年の年に、まるで神様からのプレゼントのような、生涯忘れられない出来事があったことを、これも今更ですが、ブログに書いて置こうと思います。
この年の夏、当道場は、土曜ドラマ『テイオーの長い休日』(東海テレビ/ホリプロ制作)第5話【事務所移籍は悪?芸能界の裏事情!?】のロケ地となりました。
ドラマは船越英一郎さん演じる、近頃は仕事に恵まれない「2時間ドラマの帝王」と呼ばれた大御所俳優、熱護大五郎(あつもりだいごろう)が再起を賭けて悪戦苦闘する、というコメディータッチのものでした。
そして第5話は、今井悠貴さん演じる、熱護の付き人で同じ事務所所属の若手俳優、萩原匠(はぎわらたくみ)が、大手芸能事務所からの引き抜きの話に心を動かされながらも、師である熱護への恩義との狭間で揺れ動き、決断できないでいるというものでした。
そして第5話は、今井悠貴さん演じる、熱護の付き人で同じ事務所所属の若手俳優、萩原匠(はぎわらたくみ)が、大手芸能事務所からの引き抜きの話に心を動かされながらも、師である熱護への恩義との狭間で揺れ動き、決断できないでいるというものでした。
熱護はそんな匠を道場に呼び出し、10年前に柔道の師弟役で共演したドラマでの芝居を思い出し、それを再現してみろ、と迫ります。
激しい乱取りの最中、熱護は匠に当時の共演ドラマでの台詞「あんたから学ぶ事なんかもう何もない!」を言わせ、ついには匠の一本背負いが見事に決まり、匠は号泣しながらも、師匠の下から巣立って行く決断をする、というシーンでした。
激しい乱取りの最中、熱護は匠に当時の共演ドラマでの台詞「あんたから学ぶ事なんかもう何もない!」を言わせ、ついには匠の一本背負いが見事に決まり、匠は号泣しながらも、師匠の下から巣立って行く決断をする、というシーンでした。
撮影当日はカメラテストからリハーサル、本番まで自分はずっと現場に立ち会っており、更にエキストラとして船越さんの後ろで共演?までさせて貰いました。
そして何と、船越さんは先代館長、藤野進先生の形見の稽古衣を着てこのシーンを熱演して下さったのです。
芝居とはいえ、目の前で師匠と弟子が真正面から熱くぶつかり合い、しかもそこには深い師弟愛があって、しかも師匠役の船越英一郎さんは自分の師である先代館長、藤野進先生の形見の稽古衣を着ている、左肩には「藤野」のネームの刺繍が付いたままで・・・。
お二人の熱演を側で見守りながら、まるで船越さんに藤野先生の魂が乗り移っているかのようにも見えて、自分は不思議な感覚を味わっていました。
一本背負いで投げられ、畳に横たわったままの熱護は匠に優しく語り掛けます「お前はもう大丈夫だ・・・こんな老いぼれから学ぶことなんて、もう、な~んにもないぞ・・・」。
匠は号泣しながら「台本にない台詞・・・言わないで下さい・・・」と静かに応えるのですが、完全に感情移入してしまった自分も、思わず心の中では「先生・・・そんなこと言わないで下さい・・・」と呟いていました。
匠は号泣しながら「台本にない台詞・・・言わないで下さい・・・」と静かに応えるのですが、完全に感情移入してしまった自分も、思わず心の中では「先生・・・そんなこと言わないで下さい・・・」と呟いていました。
道場創立40周年の記念すべき年に、亡き師、藤野進先生の形見の稽古衣を着た大御所俳優、船越英一郎さんが言ってくれた台詞「お前はもう大丈夫だ・・・」。
この言葉は、道場創立40周年に寄せて、天国の藤野進先生が船越英一郎さんの口を借りて(※豪華過ぎますね)贈ってくれたメッセージだと自分は勝手に信じています。
令和6(2024)年がもうすぐ終わろうとしています。
そしてお正月と共にやって来る先代館長、藤野進先生の命日も近付いてきました。
また令和7(2025)年1月で、自分が練心館道場の二代目館長を継いでちょうど20周年となります。
最近つくづく思うのは世の中は何が起きるか分からない、ということです。
思い起こせば、阪神淡路大震災の時も、地下鉄サリン事件の時も、東日本大震災の時もそう思いましたし、最近のコロナ騒動でもそれを痛感しました。
令和7(2025)年が明るく平穏な年になることを祈りつつも、たとえ困難があったとしても、天国からの熱いメッセージ「お前はもう大丈夫だ・・・」を胸に、強くしなやかに乗り越えていきたいです。
みんなで、乗り越えていきましょう。