3月
20日,
2022年
Vol.1 どうで死ぬ身の一踊り
とは言え、段々老眼も進み来て、12年ほど前から老眼鏡を時々使用するようになり、めっきり活字離れが進んでいた私は、特に氏の作品を手に取ることもなかった。そこに、先日の訃報である。驚いた。その一言だった。まだ54歳の若さでの突然死。借金生活で食いつなぎ、もう人生詰んだかと言う時の一発逆転芥川賞。人生これからじゃん。
彼のことを少し知りたくて、「どうで死ぬ身の一踊り」と言う作品をネットで購入。電子書籍は、字がでかくて読みやすい。でも、中古品がないから高い~。生前西村氏は「図書館の本を読む人はファンと言わない」と言っていたそうなので、お線香1本分にでもなれば嬉しいので購入。そして読む…面白い。
ああ、これは好きな作家だわ。太宰治を思い起こさせるが、もっとなんと言うか男らしい。男らしい屑っぷりが良い。頭の良さが伝わってくる。もっと早く読んでおけば良かった。もう西村賢太の新作は、この世に出ることはない。
彼は無念だったろうか、死を諦観しただろうか。一瞬のことで何も分からなかっただろうか。
助かっていれば、私小説家の彼にはこの体験は、もう一財産作れるものになっただろう。
芥川賞受賞から死までの11年。楽しく踊れることができたのか、訊いてみたくてたまらない。
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