日本の家屋は、暑い夏をいかに快適に過すかの工夫をすることを中心に造られてきたそうです。寒い冬にはあまり気を遣ってないようです。火を使うことで寒さは何とかしのげたのでしょう。きっとこのような工夫がされ始めた奈良時代、平安時代の夏は、とても暑い今年の夏よりもさらに暑かったのかも知れません。
私が大学生の頃には、地球はどちらかと言うと氷河期に向かっているという説が主流でした。私の所属した研究室の教授は、自分の専門以外に太陽エネルギーの利用の研究にも取り組み、“もし氷河期が近づいてきたら、砂漠だったアフリカの土地にも雨が降り、今よりも地球全体で耕地面積が増えるはずだから、むしろ望ましいことだ。”という持論を良く話してくれました。その頃は、少しずつ地球が冷えていくことを心配していたのです。
そう言えば、子供の頃の夏には暑かったという印象はなく、うちわ1本で過せたという記憶しかありません。そして8月のお盆を過ぎた頃になるとこたつを準備していたのですから。そう考えるとやはり、日本人が住居に住むようになった頃の夏は、今よりもずっと暑かったのかも知れません。
ところが今は二酸化炭素の排出による地球の温暖化がこれだけ問題になっています。人の作り出すエネルギーがそれだけ巨大なものになってしまい、気候の歴史をも逆戻りさせてしまっているのでしょうか。
それなら、これにブレーキをかけるために、打ち水や風鈴、すだれや吹き抜けの家造りなど、日本古来の風流を楽しむ気持ちが今こそ必要なのかも知れません。
カーネル笠井
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