全米最大級の高級デパートNordstromが3年ほど前から提供し始めたカジュアルバー、Habitant。私のいるここBellevue店は第1店舗目。各階の端に休憩用にと位置された軽食カフェとは違って、このバーはレディースフロアのど真ん中に堂々たる存在感で位置されています。 お店を仕切っているような壁は特になく、お店自体がまるで他の商品同様ディスプレイされているかのよう。お店の顔は間口の看板、ディスプレイなどになることが多いですが、このHabitantの顔はまさにお客さんとバーテンダーが作り上げていて毎回違った顔を見せている。とてもインパクトが大きく、デパートが失い始めている活気を作りあげています。 オンラインショッピングの影響でますます慎重に、またはピンポイントな買い物をするようになったショッピング客。そんな顧客からの壁を取り除きオープンに提供されているHabitantは“食事のついで”の買い物、シャワー効果を狙って最上階に位置されたレストラン街とは真逆で、まさに“買い物のついで”の一杯の場となって親しまれています。 バーの中からはディスプレイされている最新の洋服が景色となり、女性にとってはおしゃれなカクテルを買い物しながら飲める感覚で最高ですね。また、週末は家でビール片手にスポーツ観戦の予定が、、なんて思っていた彼女の買い物に付き合わされている男性が来るにもぴったりでしょう。 そんなHabitantに訪れた顧客はSNSに“Habitantにて”、ではなく“Nordstromにて”というコメントで写真をアップロードするのでしょう。 “ついでの買い物”で顧客を集め商品の購入のみに焦点を当てるのではなく、買い物という経験そのものをこのように向上させているそんなNordstromは自社のブランドコンセプトに沿った経営をしていると思います。ブランド経験を高めるというのはこういった原点にあると改めて気づきました。 by 杉田絵里奈