消費税増税と、介護保険制度
4月
1日
税金は本来、生計費非課税、累進課税という原則に立つべきである。
生計費非課税とは、生活に必要な最低限度のものには課税すべきではないという考え方である。
累進課税は、所得の多い人には多めに負担してもらい、所得の低い人には少ない率で負担してもらうという考え方であり、税率を所得に応じて変える原則である。所得税などは累進課税になっている。
消費税は、生計費非課税の原則、累進課税の原則に正面から反する不公平な税金の集め方である。
失業中・無職など収入のない人からも、高収入の人からも同じ税率をとる。貯金や投資には消費税はかからない(手数料等にはかかる)ので、実質的には収入の低いひとほど収入に占める課税対象率が高くなる逆進性がある。
加えて、消費税は税の公平な負担という点でも、国民には負担、企業には負担なしという問題がある。企業は、客から預かった消費税を納税するが、その際に仕入れにかかった消費税分を差し引けるので、どんなに税率があがっても消費税は企業の負担にならない。
一方、大企業の下請けの中小零細企業などは、消費税を口実に元請け企業から実質的な値下げを迫られ経営が苦しくなる可能性がある。
まず、税金の使い方を改めるべきだが、それでも財源が足りなければ、それぞれの負担能力に応じて、国民も企業も公平に負担する増税でなければならないと私は考える。
消費税が導入されて3%になるとき、介護・福祉のためしかたがないと言われた。
消費税が5%に増税されるときも、介護・福祉のためにしかたがないと言われた。
福祉・医療・介護の現場で働く者や利用者は知っているはずだ。
消費税が導入されても、福祉・医療・介護の制度は良くなるどころか悪くなる一方であることを。
消費税が8%になった。
今、国会で議論されているのは、病院のベッド数削減、70歳~74歳の医療費値上げ、介護保険の要支援1・2を対象としたサービスの制限、負担増など、社会保障の切り捨て政策ばかり。
介護・福祉のために、しかたがないという大嘘。
デンマークやスウェーデンのような消費税は高いけれど手厚い社会保障があり安心して暮らせる「高負担・高福祉」の北欧諸国と違い、日本が今進んでいるのは「高負担・低福祉」の国づくり。
政府の誤魔化しの「しかたない論」に、だまされないよう注意が必要。
消費税増税と、便乗値上げ、駆け込み需要の反動は、日本経済に深刻なマイナス作用をもたらし景気を悪化させるだろう。
この先には、消費税10%がまっている。
必要なことは、増税前の買い溜めではなく、1人ひとりが消費税増税反対の声をあげること。
増税分は、介護という仕事の賃金向上や、医療・看護・介護の人員配置基準見直し・過重負担の軽減対策に使うべき。