もの言う牧師のエッセー 再投稿
第11話「 イラク戦争終結 」
2,011年12月18日 イラク駐量米軍最後の部隊が、国境を越えて隣国クウェートに入り、撤退を完了した。その4日前の14日には、オバマ大統領が「 戦争終結 」を宣言し、イラク戦争は2,003年3月20日以来約8年9ヶ月を経てついに終わった。
が、実はこれまで「戦闘終結宣言」は2度出ていた。1度目がブッシュ前大統領により、2,003年5月1日サンディエゴ沖の空母艦上において、2度目がオバマ大統領により2,008年8月31日に大統領執務室においてである。この ″おかしな終結宣言″ に、「早く戦争を終わらせたい」と切望する米国指導者達の苦悩が透けて見える。湾岸戦争時に統合参謀本部議長だった コリン・パウエルも常々「戦争を始めるのは簡単だが止めるのが難しい」と言っていた。
国連本部前の碑文にある聖書の言葉、
「 彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない。」と書かれたイザヤ書2章4節 の言葉は、平和の象徴 として有名だ。だがこの一節の冒頭には
「主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。」
という言葉が省かれているのをご存知だろうか? したがって全文を載せると「 主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない。」
となる。つまり ″神が国々をさばいた結果、戦争はなくなり平和が来る″ ということだ。ちなみに碑文には「2章4節」とは書かれておらず「イザヤ書」とだけ書かれている。省略したのだから当たり前だ。この碑文を設置した人たちは ″神抜き″で、人間だけで平和が実現できると信じているのだろう。それは ″おかしな終結宣言″ をした指導者たちや、家庭問題や会社のイザコザに明け暮れる私たちも同じだ。「平和の君キリスト」 抜きの平和はあり得ない。
2012-1-19