もの言う牧師のエッセー 再投稿
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第275話 「 揺れる世界 」
第275話 「 揺れる世界 」
“予想外”と言われたトランプ政権の発足は世界の⾦融市場や政治に大きな波紋を投げかけている。が、それは今の世相を反映したひとコマに過ぎない。やはり予想外と言われた英国のEU離脱(ブレグジット)は、移⺠排斥を求める有権者がいかに多いかを露呈し、EUを巡る周辺は現在、英国に続いて離脱を求める国が出始める可能性について不安の色を隠せない。イタリア、オーストリア、フランス、オランダ、ドイツ、フィンランド等、多くのEU加盟国で、移⺠や難⺠を排除して⾃国⺠の利益を優先する右派の台頭が顕著だ。
トランプ政権も、環太平洋経済連携協定(TPP )離脱やオバマケアの撤回、移⺠・難⺠の入国禁止を巡る法廷闘争など話題に事欠かない。メディアや世論はトランプ氏を「バカ」 「独裁者」などと罵り、「ポピュリズムだ」と非難するが、そもそも米国政治は前回2014年の中間選挙ですでに共和党が上下両院で過半数を制しており、⺠主党は殆どなすすべなくオバマ氏によるポピュリズムだけが機能していたに等しく、今日の有様はその延⻑に過ぎない。しかも呆れたことに共和党内にもこの“バカ”に勝てる者は一人もおらず、言わばトランプ氏は出るべくして出た人物と言ってよく、換言すれば人々が政治にもはやクレジットを⾒出さなくなった結果と言えよう。
それは日本でもかつて 「⾃⺠党をぶっ潰す」 などと叫んでいた小泉氏や、最近の橋下政治、小池劇場などにも通じ、正に揺れる世界で一致出来ないでいる人々の時代が始まったように⾒えるが、実は聖書には、今から2500年以上も前に今日における揺れる世界がはっきりと描かれている。人類史上最大級の国、バビロン帝国を作り上げたネブカデネザル王が夢の中で⾒た「巨大像」がそれだ。その巨大像は、
「頭は純⾦、胸と両腕とは銀、腹とももとは⻘銅、
すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土」
ダニエル書2章32-33節、
すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土」
ダニエル書2章32-33節、
となっており、純⾦の頭は当時のバビロンを表し、首から下はその後に興る帝国を表すが、⾦属のグレードは下方に向かって質を落としていき、ついには粘土の混じる粗悪な鉄となってしまう。その意味は、
「その足の指が一部は鉄、一部は粘土であったように、その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。鉄とどろどろの粘土が混じり合っているのをあなたがご覧になったように、それらは人間の種によって、互いに混じり合うでしょう。しかし鉄が粘土と混じり合わないように、それらが互いに団結することはありません。」 同章42-43節、
とあるように、もはや圧倒的リーダーは現れず、世は四分五裂し、勢⼒が群雄割拠する。だからこそ人々は強いリーダーを求め、世界をまとめる“超独裁者”の登場をも聖書は預言しているが、最後に平和をもたらすイエスを信じる者は、揺れることなくまっすぐに歩んで⾏く。
2016-2-17
2016-2-17