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もの言う牧師のエッセー  再投稿

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第245話 「 生前退位 」 

 7月13日、天皇陛下が生前に天皇の地位を皇太子殿下に譲る意向を宮内庁関係者に示され日本中に衝撃が走った。明治以降の天皇制のあり方が変わろうとしている。現在の天皇制の源となった明治時代は、⻄洋列強に対抗するために強⼒な君主が必要とされていた時代であり、当時の中国を参考にして一世一元の制を取り入れ、退位もできないようにして天皇に権⼒を集中させようとした。

しかし、実はこれは日本古来の天皇制とは異質なもので、古代から江⼾時代までは生前退位がしばしばあり、元号もよく変わっていた。つまり、このたび生前退位が認められることで、江⼾時代の光格天皇以来200年ぶりとなるというのは以上のような理由からであり、むしろ天皇制が原点回帰することを意味する。 

ところで、憲法上、天皇による政治的な発言は禁じられているのだが、今回は先に天皇の意思が示され、政治がそれに従う流れになっており極めて異例だ。周知の通り古代の日本は祭政一致であり、天皇はその祭祀をつかさどり、神から託宣を得て政治を動かした時代もあったが、これと酷似するのが聖書に描かれる古代ヘブルの人々だ。

彼らは常に世襲制による祭司が神託を得ることで⾏動したが、難儀なのがこのたびの日本と同じく継承問題だ。数千年と続く文化や歴史的観点としては興味の対象となりもしようが、業務的には病気で働けなくなる人や早世する祭司が少なくない中で細かい規定に縛られ色々苦労したに違いない。しかしその問題を永久的に解決した人物がいる。ずばり神の一人子であるキリストだ。 

「彼らの場合は、死ということがあるため、務めにいつまでもとどまることができず、大ぜいの者が祭司となりました。しかし、キリストは永遠に存在されるのであって、変わることのない祭司の務めを持っておられます。」 
             ヘブル人への手紙7章23-24節、 

とあるように、キリストは神である自分の体を十字架にかかることによって父なる神への生贄とし、復活してから天に昇り、永遠の祭司として今に至るまで我らをとりなして下さるので、延々と人間が繰り返してきた祭儀は不要となった。それだけではない。世襲の祭司だけが受け取ることが出来た託宣である神の言葉を、今では天に昇ったキリストが聖霊を遣わし、彼を信じる者は誰でも聞くことが出来る。 
2016-7-29

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