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もの言う牧師のエッセー 再投稿 

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もの言う牧師のエッセー 再投稿 
第253話 「 難民選手団 」 
 
 リオ五輪に史上初となる「難⺠五輪選⼿団(ROT)」が参加した。 
競泳⼥⼦のユスラ・マルディニ選⼿(18)は昨年8月、内戦下のシリアから姉と共にトルコからすし詰めの船に乗り込み脱出。だが船はエンジンが故障し海に投げ出され、そこから3時間半にわたって救命ボートを押し、暗く冷たいエーゲ海を泳ぎ切り、ギリシャ領レスボス島に辿り着いた。
 
 男⼦400メートルのジェームス・ニャク選⼿(24)が南スーダンとの国境沿いにあるケニア北⻄部のカクマ難⺠キャンプに壮絶な戦禍から逃れてきたのは14年前。「父が戦死し、夜に兵隊が来る度に隠れた。生きるために村を離れた」と振り返る。 同800メートルのイエヒ・プル選⼿(21)は2005年に「村が襲撃され、3日間、茂みで暮らし、果物と葉っぱを食べてしのいだ」と言う。 

 紛争のコンゴ(旧ザイール)から3年前にブラジルに逃れた柔道男⼦90キロ級のポポル・ミセンガ選⼿(24)は会⾒で涙を流し「⼦供のころ生き別れた2人の兄弟がいる。私が生きていて、五輪の舞台に⽴っていることを知ってほしい」と語った。 

トップレベルの⼒を持ちながら、練習環境のない選⼿の活動支援のために、国際オリンピック委員会(IOC) は200万ドルの特別基⾦で ROT を設⽴し10人を選出。内訳は、男⼦6人、⼥⼦4人。南スーダン(5人)、シリア(2人)、コンゴ(2人)、エチオピア(1人)の構成となっているが、彼らには代表する国がない。表彰式では国歌の代わりに五輪賛歌が流れるという。

現在6500万人を超える難⺠人⼝は世界で21番目の“国“に相当するが、「私は世界中の難⺠と希望の代表として戦う 」と誓ったユスラさん。ほんの一握りかも知れないが、多くの人々に支えられ訓練を積み重ねてきた彼らの活躍は、世界中の難⺠たちを勇気付けたに違いない。リオの観光名所コルコバードの丘に⽴つ、大きく⼿を広げるキリスト像の前で破顔一笑の彼らを⾒て、
 
「あらゆる恵みに満ちた神、すなわち、
 あなたがたをキリストにあってその永遠の栄光の中に招き入れてくださった神ご自身が、
 あなたがたをしばらくの苦しみのあとで完全にし、堅く⽴たせ、 強くし、
 不動の者としてくださいます。」 
第一ペテロの手紙5章10節、 

を思い出した。イエスは、病気の人、疲れた人、傷ついた人、全てを失った人など、⾏き場を失った”魂の難⺠たち”を優しく招いて下さる。そして彼の指導を受け、⼒を付け、今度はʻ神の選⼿団“として⽴派に戦い、世界中に希望を与えるのである。 
2016-9-9

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