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もの言う牧師のエッセー 傑作選

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もの言う牧師のエッセー 傑作選
もの言う牧師のエッセー 傑作選
第227話 「 キャンサー・クライマー」
 
   世の中には凄い人がいる。NBCテレビで、今年41歳の登山家、ショーン・スワーナーさんが出ていた。13歳の時に末期の癌であるホジキンリンパ腫を患い余命1ヶ月と宣告された。が、奇跡的に生き延びる。しかし、彼が16歳の時、何と又しても重度の癌であるアスキン肉腫にかかり、余命2週間と宣告された。「なぜだ!?」 真っ暗な闇の中に叩き落された彼は、枕の中に顔をうずめ大声で泣いたという。しかし今度も奇跡的生き延びた。彼の兄弟であるジミーさんいわく「まるで宝くじに連続当選したみたい。」 


苦しい闘病生活の中でショーンさんは、「もし病気を克服できたら必ずエベレストの頂点に登る」ことを決意。と言っても彼には片肺しかない。しかしその約10年後ついにエベレストの山頂に立ち、世界で最初の、そして唯一のエベレスト登頂を成し遂げたキャンサー・クライマー(癌患者の登山者)となった。その後、彼はアフリカのキリマンジャロ山を振り出しに世界七大陸最高峰を次々と踏破。一方で、彼はキャンサー・クライマー財団を立ち上げ、癌と戦う多くの人々と向き合い、自らの体験を分かち合い、講演や執筆活動を開始。多くの患者らを訪ね激励する。


それだけではない。何と彼は、癌患者らに登山をすることを提案、癌闘病と登山という自身が体験した一切のノウハウを手取り足取り教授し、寄り添い、共に頂点を目指す。彼に支えられキリマンジャロを踏破したピーター・キャンベルさんは言う。「あるとき彼からテキスト・メッセージがあったんだよ。『一緒に山に登ろう』とね。『君にとって癌は克服すべき山なんだ』と。」
聖書は言う。


「 主は、ご自身が試みを受けて苦しまれたので、
 試みられている者たちを助けることがおできになるのです。」
 ヘブル人への手紙2章18節。 


今あなたも絶望の淵にいるかも知れない。病気や破産、引きこもりや家庭の危機などに押し潰されそうかも知れない。でも大丈夫。十字架にかかり暗闇のどん底に突き落とされたイエスは見事に復活し、我らの罪を赦し、我らが克服すべき山を共に登って下さるのだ。そして、山頂に立った時、今度は自らが自分と同じ困難を抱えた人の為に働く。これがゴスペルの真髄であり、真の信仰者の道である。                             2016-3-25

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