もの言う牧師のエッセー 再投稿
第217話「 アホとアホのスパーク 」
未熟な両親による幼児虐待は珍しくはないが、近年、若い両親による“虐待と思っていない虐待行為”が増えてきた。昨年暮れ、幼児にたばこを吸わせた疑いで24歳の無職の父親と、その交際相手の16歳の少女が逮捕されたことがあったが、常軌を逸しているのは、この二人が、幼児にたばこを吸わせる動画をSNS上に「3歳で喫煙ですかヤンキーだらあ」というコメント付きでアップしていたこと。虐待という意識は全くなく、微笑ましいページとして紹介しているのだ。結果、この動画が拡散され、逮捕となったところに、あらためて無知は罪と感じる。
さらにその後、23歳の父親と17歳の母親が、「ふたりでスマホゲームをしたかった」という理由で、自らの生後16日の長女をゴミ箱に押し込み、さらに上からもうひとつのゴミ箱をかぶせて窒息死させてしまったり、交際している女性の生後3か月の長男に、覚せい剤を投与して殺害する男まであらわれた。男が卑劣なのはもちろんだが、女性も覚せい剤を使用していたというから話にならない。
こういった相次ぐ親になりきれない親たちの行動に対し、ダウンタウンの松本人志が “ワイドナショー”(フジテレビ)で 「アホAとアホBが出会った時、アホがスパークしますよね。アホが1人でいる分には、まだ勝手にやっていたらいいんですけど」とコメント、その的を得た発言に思わず膝を打ったが、と同時に聖書の
「愚かな者の笑いは、なべの下のいばらがはじける音に似ている。
これもまた、むなしい。」 伝道者の書7章6節、
を思い出した。世間では「人に迷惑をかけなければ」などという声をよく聞く。自分ひとりでボチボチやっていればそれで構わない思っている人も少なくない。だが、それは甘いと言わざるを得ない。なぜなら“アホ”である罪は絶対にじっとしていることがないからである。それはそこここではじけようと待ち構えている。
何と言っても人間の最大の罪は、創造者である神を何とも思っていないことだが、そのせいで大抵の人間は罪を罪と自覚することさえおぼつかなり、結果 “ばれなきゃいい”といった空気が横溢しているのではなかろうか。だからこそキリストの十字架は、斯様な罪への無自覚に終止符を打ち、悪のスパークに代えて善をスパークさせる唯一の光として輝くのである。 2016-1-31