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もの言う牧師のエッセー 再投稿

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第200話「 ポジティブ離婚 」
 
  お互いの人生のために前向きな決断をして離婚を前に“離婚デート”や“離婚旅行”で思い出の地を巡ったりする“ポジティブ離婚”が流行っている。友人や親戚が見守る中、“最後の共同作業”として結婚指輪をハンマーで叩き壊すなど、盛大に“離婚式“を行なうカップルもいる。「今までアリガトー!」と叫ぶ元妻や、「彼女も笑ってくれて、久しぶりに素の自分たちに戻れた気がしました」などと喜ぶ元夫など、人生をリセットする為に「2人が明るく別れる“仲良し離婚”が増えてきた」とは離婚式プランナー寺井広樹さんの弁。 

実は、平成(1989年)に入ってから増加傾向にあった日本の離婚件数が、2002年をピークに緩やかな右肩下がりになっているという。厚生労働省が発表した『平成26年人口動態統計月報年計(概数)』によると、昨年の離婚件数は22万2104組。一昨年と比較して9300組近く減少。婚姻件数も同様に減少しており、昨年は戦後最少となった。9.11テロや震災の影響による離婚観の変化や、晩婚化の影響で離婚率の高い若い世代の結婚が減ったことなどに起因しているようだが、要するに欧米並みに離婚(或いは結婚)が“安定期”に入り少し落ち着いてきたというところらしい。

しかし、たとえ円満であったとしても離婚は重い決断であり、そこへ至る道も生易しいものではない。浮気やDV、モラハラや実家問題など、離婚を巡る環境は複雑化している。
聖書では離婚が禁じてられているのは有名だが、

「彼らはイエスに言った。『では、モーセはなぜ、離婚状を渡して妻を離別せよ、と命じたのですか。』 イエスは彼らに言われた。『モーセは、あなたがたの心が頑ななので、その妻を離別 することをあなたがたに許したのです。しかし、初めからそうだったのではありません。』」
マタイの福音書19章7-8節、

とあるようにイエスと宗教家の間で交わされた問答を見ると、この問題が宗教で良いか悪いかなどと云々する軽々しいものではないことを示す。ここで登場するモーセは聖書の最初の部分を書いた約3500年前の人物であるが、当時すでに暴力亭主や浮気妻がなどが多くおり結婚の維持が難しくさせられた人が大勢いた。いわば“被害者救済”のために神はモーセにその一項を載せることを許したのである。

神は決して杓子定規に『離婚するな!」などと言っているのではない。それどころかイエスは優しく慰めて下さる。しかしポジティブ離婚が己の“やりたい放題“になってはいけない。これまでの経緯を反省し、その失敗を土台として善を成すことを目標とすべきである。ゴスペルとは、キリストの力で人生を前向きにリセットすることである。そうして緩やかに回復し安定していくことが出来る。
2015-9-18

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