もの言う牧師のエッセー 第181話 傑作選
「 ローレン・ヒルの祈り 」
脳腫瘍の難病、小児脳幹部グリオーマ(DIPG)を患い、高校在学中に余命僅かとされながらもオハイオ州マウント・セントジョセフ大へ進学し、歩行もおぼつかなくなり吐き気や目まいと闘いながら練習に打ち込み昨年の秋に全米大学バスケットボール公式戦のコートに立ち、シュートを続けて決め世界中の感動を呼んだ女子選手ローレン・ヒルさんが、ついに4月10日亡くなり19歳の若さで天国へと旅立った。
彼女が「12月先に命はない」と宣告された時、当初の開幕日は2週間先だったが「一度だけでも娘をコートに立たせてほしい」という両親の願いを大学が受け止め全米大学体育協会(NCAA)に働きかけた結果、何と NCAA は特例措置として日程の変更を承認。母校の体育館は2000人しか入らないため、近隣の男子強豪校ゼイビアー大が10000人以上収容のアリーナを提供。チケットは開始30分で完売、試合はFOXが生中継。
先発した彼女はいきなり前半の開始17秒、ゴール下で、左手でシュートを決めて男女を通しての今季の“全米初得点”を記録し、さらに後半の残り26秒から再びコートに登場すると、今度は麻痺が強くなっている利き手でもある右手でシュートを成功させ4得点をあげ会場はスタンディングオベーション、相手チームも拍手を送り全米が涙し、多くの人の心を揺さぶった。 まだある。
「神様!私を守って!私は何としても自分の病気をあなたの為に使いたい!そして多くの同じ病に苦しむ子供たちのために夢を与え役立ちたいんです!」 筋金入りのクリスチャンである彼女は必死に祈り、あまり知られていない自身が抱える難病 DIPG のための基金を立ち上げ、軽々と1億円以上が集まったが、その後100億円に膨れ上がった。。。
「私は勇敢に戦い、走るべき道のりを走り終え、
信仰を守り通しました。」 2テモテの手紙4章7節
と、イエスの弟子中で最も働いたパウロが生涯の終わりに残した言葉どおりにローレンは生きた気がする。イエスを信じることを、宗教に加担することや弱い人間の戯言と考えている人は多い。しかしそれは全く的外れである。それは、他者を愛し、神を愛し、最後まで自分の大好きなバスケットボールをプレーし続けたローレンの様に力強く生きることである。
2015-5-1