牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA
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第65話 十字架を造った男たち ②「ヒロさん」
長らく遅滞していた十字架制作。ようやく神からメッセージを来た。木製で高さ6フィートは譲れない。カネも出せない。しかし十字架を建てる機は熟したことは確かだ。どうすれば良いかさらに懸命に祈った。すると、「ここにあるではないか!」と声が聞こえた。「ここにある?ひょっとして、俺がもうそれを持ってるということ?」などと思い巡らしてると、「そうだ。自分のリソースを使え!」と再び神の声が。「俺のリソースて何だ?」ともう一度祈りに戻ろうとした瞬間、「そうか!」とひらめいた。「鉄で造ればいい!」。
土台だけ鉄で造り、十字架を木製にすれば、土台が重く安定するうえにコンパクトサイズに出来る。鉄の加工や溶接するヤツならいくらでも知っているが、中でもここ数年にわたり私のボロハーレーや 今は無きボロマスタングを格安、或いはタダで修理してくれたヒロさんの顔が浮かんだ。私より10歳弱ほど若い彼は 九州の工業大学で航空工学を学び、車以外にも何でも修理したり造ったりする秀才なのでバッチリだ。
それだけではない。実は彼のショップはアメリカでよく見かける典型的な産業地区にあり、ショップが入居する敷地内には業種違いの様々なショップが軒を連ね、ペンキ屋、金属加工業、プラスチック成型などがあるので、木工製作のショップもあるかも知れない。もしあれば、そこへ十字架制作も頼んでみようなどと厚かましい考えもよぎった。
善は急げとバイクを走らせ祈りつつ彼のショップを訪ねると、ちょうど彼は地べたに座り込んで何やら修理をしていた。恐る恐る「ヒロさんさ~、ちょっと頼みたいことあるんやけどな~」と聞いてみた。「何すか?」 相変わらず愛想が悪く黙々と仕事をしてる。一呼吸置いて「実は十字架を造りたいんやけど、土台と十字架を分離できて、土台は鉄で造りたいんやわ。ヒロさん、出来へんかな?」 すると、「十字架の土台を鉄で造る?そんなもん簡単っすよ。」 やったー!と言う気持ちを抑えつつ、私はさらに「おいくらで?」と値段も聞いてみた。
「タダでいいっす。」 「え?!」 一瞬頭が真っ白になった。「そんなんでええの?鉄板も注文せなアカンやん」と返したところ、「鉄なんかいくらでも使い古しのがあるますよ。ほら、そこにも」と言いつつ部屋の端に積まれた油まみれの鉄板を指さしながら、「そんな簡単な仕事、カネなんか貰えないっす。」
あまりのヒロさんの優しさに言葉を失った。そして、神の不思議な導きに圧倒され体が震えた。
「神よ。あなたは、いつくしみによって悩む者のために備えをされました。」
詩篇68篇10節
2022-7-9
第65話 十字架を造った男たち ②「ヒロさん」
長らく遅滞していた十字架制作。ようやく神からメッセージを来た。木製で高さ6フィートは譲れない。カネも出せない。しかし十字架を建てる機は熟したことは確かだ。どうすれば良いかさらに懸命に祈った。すると、「ここにあるではないか!」と声が聞こえた。「ここにある?ひょっとして、俺がもうそれを持ってるということ?」などと思い巡らしてると、「そうだ。自分のリソースを使え!」と再び神の声が。「俺のリソースて何だ?」ともう一度祈りに戻ろうとした瞬間、「そうか!」とひらめいた。「鉄で造ればいい!」。
土台だけ鉄で造り、十字架を木製にすれば、土台が重く安定するうえにコンパクトサイズに出来る。鉄の加工や溶接するヤツならいくらでも知っているが、中でもここ数年にわたり私のボロハーレーや 今は無きボロマスタングを格安、或いはタダで修理してくれたヒロさんの顔が浮かんだ。私より10歳弱ほど若い彼は 九州の工業大学で航空工学を学び、車以外にも何でも修理したり造ったりする秀才なのでバッチリだ。
それだけではない。実は彼のショップはアメリカでよく見かける典型的な産業地区にあり、ショップが入居する敷地内には業種違いの様々なショップが軒を連ね、ペンキ屋、金属加工業、プラスチック成型などがあるので、木工製作のショップもあるかも知れない。もしあれば、そこへ十字架制作も頼んでみようなどと厚かましい考えもよぎった。
善は急げとバイクを走らせ祈りつつ彼のショップを訪ねると、ちょうど彼は地べたに座り込んで何やら修理をしていた。恐る恐る「ヒロさんさ~、ちょっと頼みたいことあるんやけどな~」と聞いてみた。「何すか?」 相変わらず愛想が悪く黙々と仕事をしてる。一呼吸置いて「実は十字架を造りたいんやけど、土台と十字架を分離できて、土台は鉄で造りたいんやわ。ヒロさん、出来へんかな?」 すると、「十字架の土台を鉄で造る?そんなもん簡単っすよ。」 やったー!と言う気持ちを抑えつつ、私はさらに「おいくらで?」と値段も聞いてみた。
「タダでいいっす。」 「え?!」 一瞬頭が真っ白になった。「そんなんでええの?鉄板も注文せなアカンやん」と返したところ、「鉄なんかいくらでも使い古しのがあるますよ。ほら、そこにも」と言いつつ部屋の端に積まれた油まみれの鉄板を指さしながら、「そんな簡単な仕事、カネなんか貰えないっす。」
あまりのヒロさんの優しさに言葉を失った。そして、神の不思議な導きに圧倒され体が震えた。
「神よ。あなたは、いつくしみによって悩む者のために備えをされました。」
詩篇68篇10節
2022-7-9