牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA
第61話 ホーリーグラウンド篇
③「無期懲役を食らった男 中編」
拘置所の礼拝で、突然、神の声を聞き、罪状を認めたために無期懲役となったヘクター。「すごいね。イエスを信じたばかりなのに、一生刑務所にいるかも知れないリスクを冒してまで神の声に従うなんて、誰にも出来ることじゃないよ。君には その時 “100%の確信” が与えられたということだね?」
私は彼へのインタビューの手を止めて聞いてみた。それに対する彼の答えは意外なものだった。
「いや、まだ100%ではなかった。いい加減な感じだったと思う。でもとにかく従おうと決めたんだ。」私は驚いた。しかし彼は福音と救いの根幹をなす重要なことを言っている。神への信仰とは、「神への服従」を意味するからだ。まだ信じたばかり。洗礼も受けていない。聖霊も神学も知らない。ただ神を信じて服従し前へ進む。これが真の信仰者だ。そして必ず試練の時がやって来る。神はご自分の子供を愛されるので、それぞれを鍛錬し造り変えようとされる。
彼は模範囚として歩み始めたが、その道は平坦ではなかった。なぜならアメリカの “ムショ” では模範囚は嫌われイジメられるから。牧師のアシストを受けつつ 祈りと聖書に専心し、どうにか無事に過ごしていたが、6年ほどたったある日とんでもない事件が起こる。彼のセルメイト(同房者)の麻薬使用が発覚し、アメリカでは刑務所犯罪が日常茶飯事なので当局も動き出した。ヘクターは同房なので誰がどのように麻薬に関係しているか知っている。その時、突然「お前はこれを見て見ぬふりをする気か!」と神の声が再び聞こえたのだ。
「神さま、それはチンコロ(告げ口)せよということですか? そんなことをしたら私は殺されます!」彼は震え上がった。「チンコロ」。ムショでこれほど危険なことは他にない。バレたら命はない。すると「わたしを信じるのではないのか?!」と再び図太い声が。無視しようとしたが日々その声は彼の心にこだまし大きくなっていく。彼は祈り、悩み抜いた。そしてついに彼は腹をくくり全てを神に委ねる決意をし、当局に情報を流した。神に従ったゆえに無期懲役となった彼が、さらなる神の救いと御心を求めて命を賭す!
「あの時が俺にとって “確信” の時だった。。。」 ヘクターは振り返った。そして、この域に達した者はもはやブレない。聖霊が心に住み、イエスと一心同体に歩み始め、自分では出来ないことも可能になる。だが、彼には地獄の日々が待ち受けていた。そして、闇の向こう側に指す復活の光を彼はまだ知る由もなかった。
「あなたがたの確信を投げ捨ててはなりません。
それは大きな報いをもたらすものなのです。
あなたがたが神のみこころを行なって、約束のものを手に入れ
るために必要なのは忍耐です。
『もうしばらくすれば、来るべき方が来られる。
おそくなることはない。わたしの義人は信仰によって生きる。
もし、恐れ退くなら、わたしのこころは彼を喜ばない。』
私たちは、恐れ退いて滅びる者ではなく、
信じていのちを保つ者です。」
へブル人への手紙10章35-39節 3-31-2022
つづく。。。