牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA
第59話 ホーリーグラウンド篇
①「バイカー・チャーチにて」
南カリフォルニアでは様々なスタイルの教会がある。近所のホーリーグラウンド教会は多くのバイカーが集う教会だ。今から10数年前、教会が上手く行かない時、シンドイ時、ちょこちょこ訪問した。月一度、ハンバーガーショップを借りてバイク・イベントをするほか、プリズン・ミニストリー(刑務所伝道)やホームレス支援などを細々とやっている。キューバ出身のホセ牧師が始めた教会で、多くの出所者や行き場を失ったホームレスの人たちを受け入れて来た。
ある日、私は彼に尋ねたことがある。「この教会はバイカーの教会と言っても過言ではない。なのに、なぜカリフォルニアでよく見かける“Biker’s Worship Service(バイカーによる礼拝)”しないのですか?」と。彼は即答した。「この教会はバイカーの教会なのではない。確かにバイカーは多くいるが、誰でも受け入れる、みんなの教会なのです。」
恥ずかしかった。イエスさまは両手を広げて私たちを招いてくれているのに、いつの間にか上辺だけで見て型にはめようとして当たり前のことを忘れていた。イエスだけが人を救うことがお出来になり、我々はその弟子に過ぎず、全ての人に門戸が開かれ誰でも救われるというのに。
ふと見ると、スキンヘッドで髭面のイカツイ兄ちゃんがいたので、「彼もこのミニストリーで救われた人ですか?」とホセ牧師に聞いたところ、横から彼の奥さんが、「彼は私たちのトロフィーよ。」とささやいた。トロフィー。何とよく分かる表現だろうか! 牧師にとって最高の褒美は金でも名誉でもない。自らの宣教を通して救われ、生まれ変わった人たちなのだ。なかなか結果が出ない地道な活動、実らぬ宣教、しかし神は、神の前にへりくだる者を起こし、時にトロフィーをくださる。
「私たちの主イエスが再び来られる時、御前で私たちの望み、
喜び、誇りの冠となるのは誰でしょう。
あなたがたではありませんか!」
第一テサロニケ人への手紙2章19節
と、イエスの弟子パウロが、苦労の末に救われたテサロニケ教会の人々を絶賛したように、ホセ牧師らも“兄ちゃん”を絶賛してるのを痛いほど分かった。この兄ちゃんも数年前に刑務所から来た“出所組”だが、ホーリーグラウンド教会に招かれ、厳しい信徒クラスをパスし、今は同教会の寮の管理人をしてるという。
だが、このあと私はもっと強烈なトロフィーを見ることになる。人生を変えるほどの。。。 3-17-2022 つづく。。。