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牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA   

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第52話  ロン追悼 ②「急変 」  

   ロンは長く苦しいキモセラピー(抗がん剤治療)を終了し外出許可が下りたため、私はようやく鮨屋に食べに来た彼と会えたものの、その後、彼が亡くなる日まで会えることはなかった。相変わらず教会には来ず、訪問も叶わなかった。いっぽう“軟禁状態”を解かれた彼は積極的に動き回った。そしてメジャーリーグが開幕したばかりの5月頃、大好きなエンジェルス戦を見にアナハイム球場へ行ったのだった。

私は嫌な予感がした。その日は曇天で南カリフォルニアにしては肌寒く、特に陽が落ちてから風がビュービュー吹いて冷え込んだ。まずいことにロンは内野席の最上段で観戦したため冷たい風が直撃し、風邪をこじらせてしまい あっという間に重症化した。明らかにあの夜を境に急変した。楽観ムードは吹っ飛んだ。医者は首を横に振り、まだ45歳のロンは残り数カ月の命と宣告された。

「何としても彼に福音を伝えねばならない。」 私は焦った。もう時間がない。来る日も来る日もロンの癒しと救いを祈ったが病状は悪化の一途を辿った。同時に道子さんには訪問を幾度も申し出たが私が彼の病床に呼ばれることはなかった。己の人望のなさと無力を思い知らされた。

だがついに「もうこれ以上は待てない!」と意を決し、ある土曜の午後の営業時間中に彼女の前に進み出て「祈ろう!」と声をかけた。鮨を握る手を止め客を放たらかして。「え?! 今、ここで?」と当惑する彼女を鮨カウンターの端まで招き寄せ、「そうや!今ここで祈ろう!道子さんが家に呼んでくれないなら俺は出来ることをする。神さまはどこででも祈りを聞いてくださる!」 土曜日午後1時頃、収容人数90名の店は満員だったが私は周りをはばからず祈り始めた。

すると、彼女は突然‘ワアワア泣き出した。「辛い。。。彼がいなくなるなんて耐えられない!。。。」 やはりそうだったか。今までポーカーフェイスだったが心の底では泣きじゃくっていたのだ。「ボクたちは無力やけど、とにかくイエスさまを信頼しよう」などと言いながら私はとにかく祈った。その間、客も社員も文句を言う者は一人もいなかったが、聖霊の確かな手応えを感じつつも、私が出来るのはせいぜいこれだけだった。だが、その後も彼女が私を家へ招いてくれることはなく、彼女らが教会へ来ることもなかった。最後の時へ向けて日々は冷酷に過ぎて行った。。。

「泣く者と一緒に泣きなさい。」 ローマ人への手紙12章15節
 つづく。。。                8-25-2021

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