牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA
第50話 「 鮨屋にて、トラクト配布 」
パートで鮨板前をしながらよく”自家製“トラクトを客に手渡す。駅前などのトラクト配布でのヒット率(受け取った人が教会へ来るなど)は通常1/5000~1/10000と言われるが、客の目の前で鮨を握る私自身が「これ私が書きました」と言って手渡せば、みな嬉しそうに受け取ってくれる。わざわざ出かけて行って巷で「教会へ来てください。イエスさま信じましょう。」などと言っても嫌そうな顔をされるだけだが、向こうから来てくれる上に、旨いものを食べ酒でほろ酔い気分になった客は時には身を乗り出して話を聞いてくれる。挙句「何で牧師になったんですか?」などと聞いてもらえれば、ここぞとばかりに伝道大会と化す。
前回49話の店でいた時の話。ずいぶん前のこと。ハルミさんという30歳前後の小柄でチャーミングな日本人女性が年配の白人男性と共にやって来た。こちらの大学を卒業しこちらの企業で勤める優秀な人だ。2人で外回りのセールスをしており彼は上司と言う。「実は彼氏なんです。」と笑った。一緒に仕事をしているうちに彼にコクられ付き合いだしたそうな。彼は40歳半ば、割と気難しい感じの小太りの人。この時も私は自身が牧師をしていることを彼らに告げ、盛り上がったところで自家製トラクト「もの言う牧師のエッセー」を3枚ほど手渡した。
4ケ月ほど経ったある日、また2人が訪れ鮨カウンターに座った。すると「ミッキーさんですよね!ハルミです!覚えてますか!?」などと彼女はいきなりハイテンション。「エッセー読みましたよ! 面白かったー!」と喜んでくれた。何のことかと聞いたところ、スイス時計の話を書いたエッセー第43話「またオメガかよ。。。」(HP参照)の話であることが分かった。「実は私の彼、スイス人なんです! それで彼にもあのエッセーを英訳して読み聞かせちゃいました!」 ありゃまビックリ。何と言うまぐれ当たり。
日本のクオーツ時計が世界を一度は席巻したものの、その後スイス時計は盛り返し、オリンピックの公式時計にはスイス製しか使われていない話を通して、人のおごりを戒め、無力を示し、神を畏れるよう説く内容だったのだが、まさかスイス人にまで読まれるとは。実のところこれほどの反応はめったにない。神さまがハルミさんを通して、地道に奉仕を継続することが無駄ではないことを改めて示してくださったことを知り胸が熱くなった。彼らの救いを祈りつつ、トラクト配布はこれからも続く。
「あなたのパンを水の上に投げよ。ずっと後の日になって、あなたはそれを見いだそう。
朝のうちにあなたの種を蒔け。夕方も手を放してはいけない。
あなたは、あれか、これか、どこで成功するのか、知らないからだ。
二つとも同じようにうまくいくかもわからない。」 伝道者の書11章1,6節
4-16-2021