もの言う牧師のエッセー 傑作選
もの言う牧師のエッセー 第92話 傑作選
「 バカッター 」
ずいぶんと昔の話だが、吉本新喜劇で「責任者出てこーい!」というのがあった。で、 当の責任者が出て来たら、今まで威勢のよかった “クレーマー“ がきびすを返して「あ、お宅が責任者?どうも~、ご機嫌さん!」などと言ってご機嫌を取り、 “必殺手のひら返し” で笑わせるのだが、結局のところ人間というのは、本人を目の前にしては何も言えないという弱い生き物であることを痛烈に風刺していたように見える。
去る6月、復興庁で福島県の被災者支援を担当していた元参事官が個人の短文投稿サイト、ツイッター上で「左翼のクソども」などと市民団体や国会議員を中傷した事件が、被災者を はじめとする国民に驚きをもって受け止められたのは記憶に新しい。
交流サイトの書き込みが問題化する例は後を絶たず、ツイッターは今や「世界最高のバカ発見器」とか「バカッター」との異名を取る。1000ccの大型バイクを乗り回し、一般人では珍しいツィッターでの1294のフォロワー数を持つというやり手の東大卒のエリート官僚も、相手(本人)の顔が見えないことでつい “いらんこと” を言ったのだろうか。
しかしこれに関してはキリストは、かなりハッキリと断言している。
「 人から出るもの、これが、人を汚すのです。
内側から、すなわち、人の心から出て来るものは、悪い考え、不品行、盗み、殺人、
姦淫、貪欲、よこしま、欺き、好色、ねたみ、そしり、高ぶり、愚かさであり、
これらの悪はみな、内側から出て、人を汚すのです。」 マルコ7章20-23節
が、それだ。日本人が大嫌いな「性悪説」そのものと言ってよい。車に乗ったとたんに荒っぽくなる人や、酔ったら下品になる人、結婚した後だらしなくなる配偶者などを見れば分かる。要するに人間は弱いのだ。日頃は取り繕っていても、ふとした弾みで本性が剥き出しになる哀れな罪人なのである。でも心配ご無用。だからこそキリストはやって来た。罪を赦すために。 2013-7-31