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牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第26話

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牧師、バイカー、鮨職人として。...
第26話「ボロ教会 前編:ディサイプルシップだ」  

   平日の昼間のLA地域のフリーウェーはいつも渋滞してるので私はたいていバイクで移動する。人に会うのも伝道する時もそうだ。今から数年前、福音を伝えにバイクで足げく通った家庭の近所に“ボロ教会”がある。貧しい地域の教会で、敷地が広いので駐車場は大きいが礼拝堂はこじんまりしており、その横に複数の平屋が並んでいる。面白いのはその駐車場にいつもシャコタンで50年代のオンボロ・アメ車がポツンと置いてあることだ。それが気になった私はある日バイクで立ち寄っみた。

駐車場の端にバイクを止めたところ、30メートルほど先にある平屋の中から4人の男が出て来た。自分の事を差し置いて言うのも何だが彼らも相当ガラが悪い。しかもそのうち一人は身長2メートル以上あり体重は150キロは下らない白人中年の大男でまるでハルク・ホーガンだ。ただしホーガンは剥げてるがその大男は銀髪のショートヘアでもっと精悍だ。などと見てると何と向こうもこちらをじっと見てる、つうか睨んでる。しかもこちらにドンドン近づいて来た!「ヤベ!」

大男は私の前まで来ると「撮っていいか?」と言ってパチパチと私のバイクの写真を撮りだした。ズルっと拍子抜けしたが気を取り直し「アンタらこの教会のメンバー?」と尋ねると「そうだ。」と言う。こちらが牧師であることを告げ、「今日は何やってるの? 奉仕か何か??」と聞くと「違う。」と彼。「じゃ、何?」。「ディサイプルシップ(discipleship)だ 」。

ガーンとやられた。「ディサイプルシップ」。何と良い響きだろうか。日本人には聞きなれない言葉だが、よくある日本の「弟子(ディサイプル)教育」とは似て非なるものだ。彼らは弟子そのものを目指す。この教会に住み、常に学び、ホームレスミッションや刑務所伝道、バイカーミニストリーにイエスの奉仕者として精を出す。メンバーの多くは元受刑者だ。数台のハーレーが駐車されてる。例のボロ・アメ車は牧師の車で「ラット・ロッド」と呼ばれてるそうで大笑いした。シャコタンの大排気量車である「ホット・ロッド」を文字って「ネズミのように小汚い車」と言う意味だ。道理で! 牧師自らアメ車のチームも率いているとのこと。

実はその頃の私は落ち込んでいた。進まぬミッション、閑古鳥の教会、生活のために自ら夜遅くまで働く日々。しかし不器用で貧しいながらも主のために自分のいる場所で自分の出来ることをしている彼らを見て、極貧と迫害に負けず力強く歩み通しイエスに激賞された「スミルナの教会」を思い出し、主が私を今日ここに導いてくださったことを知った。「ここに来て本当に良かった」と天を仰ぎ 主を賛美したのだった。

「わたしは、あなたの苦しみと貧しさとを知っている。
-しかしあなたは実際は富んでいる。」
           ヨハネの黙示録2章9節。
4-10-2020

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