もの言う牧師のエッセー 傑作選
第109話 クリスマス・ストーリー
「 ふられた花嫁が! 」
若い女性なら誰もが思い描く夢の晴れ舞台である結婚式。純白のドレスに身を包み、皆の祝福とスポットライトを一身に集め、おとぎ話のお姫様になれる時。ノースダコタ州ファーゴ市に在住の若くて魅力的なミッシェルもそんな一人だった。この秋に結婚する予定で一年前から準備を進め、式場の手配、ドレスの購入、生演奏の予約にフラワーアレンジメント、さらにリムジンと 撮影係の予約と大忙し。通常アメリカでは結婚式費用を花嫁側が負担することが多いために、彼女自身も式の準備のかたわら働いて費用を貯め、その日を首を長くして待っていたに違いない。
が、式をわずか一週間後に控えたある日、彼氏から電話が。「俺はもうお前を愛していない。式はしない」。たった一本の電話で全てが終わった。夢の結婚式は悪夢と化し、数千ドルの予算や準備は無駄となった。だが、ミッシェルはとんでもないことを思いつく。何と上記の予約を一切キャンセルせずに、会場や生演奏などをそっくりそのまま障害児施設へ寄付してしまったのだ!
驚いたのは施設の担当者のジョデイさんだ。「私は言葉を失ってしまいました。『本当にいいの?』と彼女に何度も聞いたほどです」。子供たちは大はしゃぎで喜び、結婚式はハロウィンパーティーとなった。「私自身が今を乗り越えるために、自分の大切なものを誰かに与えるべきだと思った。私にとって特別な日は子供たちにとって特別な日になった。」とミッシェル。 なるほど聖書の
「神は、あなた方を、常に全てのことに満ち足りて、
全ての良い業に溢れる者とするために、
あらゆる恵みを溢れるばかり与えることの出来る方です。」
Ⅱコリント人への手紙9章8節、
とは正にこういうことだ。神は我々人間を良い業に励むために創造された。誰かに何かを与えることによって自分自身が喜びを感じ、逆境でさえも克服する力が与えられる。それだけではない。その喜びは爆発し他の人々へ伝染する。それは決して一箇所にとどまってはいない。ますます満ち溢れていく。クリスマスとはそういう日なのである。神がまず我々に御子を下さり喜びが満ち溢れたのだ。我々人間が偉いから神がそうしたのではない。神が一方的に我らを愛してくださったのだ。キリストを信じ、与える者となる時、あなたはもはや無敵である。クリスマスを喜ぼう。 2013-12-1