第25話「 LA RIOTS(ロス暴動) 20years Later 」
早いもので“ロス暴動”から20年が経った。誠に悲しい事件ではあったが、それを記念してNBCニュースに懐かしい人が出ていた。タイタス・マーフィー氏だ。
1992年4月29日、ロドニー・キング事件に関わる4人の白人警官への無罪評決を機に、判決を不服とする主に黒人を中心としたLA市民の怒りが爆発、後に全人種を巻き込む大暴動へと発展する。そして同日午後6時45分、仕事でLA市内を18輪トレーラーで27トンの 土砂を輸送中だった白人男性レジナルド・デニー氏がフローレンスとノルマンディアベニューの交差点でたまたま信号待ちをしていたところ、ストリートギャング”クリップス“の幹部ら 4人を初めとする暴徒によりトラックから引きずり出され、コンクリートブロックでこめかみを殴られたり鉄の塊を頭部に落とされたりなどの暴行を受け血まみれのまま捨て置かれた。
その一部始終をテレビの生中継で見ていた黒人男性マーフィー氏は、その場所が自宅の近所であることに気付くと自宅を飛び出し現場に駆けつけデニー氏を救出、同じく地元から駆けつけたやはり黒人であるボビー・グリーン氏がデニー氏のトラックを運転して病院に向かったのだった。
イエスのたとえ話、敵を救った「良きサマリヤ人」を地で行くこの話に多くのアメリカ人は 混沌と暴力の中で希望を見たに違いない。「俺はただ助けを必要としてる人を助けただけ」とマーフィー氏は言う。
聖書の詩篇46編1節に
「神はわれらの避け所また力なり。悩める時のいと近き助けなり。」文語訳
とあるが、キリストは決して単なる“キリスト教の教祖“でもなく、どこかの先生でもない。 まさに人類の“助け”となるべく十字架にかかって血まみれになるほど我々を愛してくださった「救い主」なのである。 2012-5‐8