夏の夜の思い出“ホタル狩り” (カーネル笠井)
8月
21日
「あれはきっと、おじいちゃんが見送りに来てくれたんだ。」
「おじいちゃんが見送りに来てくれた!」
などと言って、大さわぎになったのです。
以前この辺りでは、小川のある所ならどこでもホタルは当たり前のようにたくさん見ることができました。窓を開けて寝ると、迷い込んだホタルが“かや”に止まって光っていたことも度々ありました。ですからそのころは、夏休みの夕食の後、近所の子ども達と待ち合わせをし、竹ぼうきを持ってホタル狩りに出かけたものです。ホタル狩りと言っても、近所の家の庭や、歩き慣れた道でする程度でした。わが家の横にはホタルのたくさんいる竹やぶがあったのですが、5〜6人いてもそこには恐くて近づけませんでした。近づくと、そこに吸い込まれてしまい、二度ともどれないような気がするほど暗闇だったからなのです。
ホタル狩りの思い出は、年上の者に連れられて行った記憶しかありません。本来高学年になったら、私達が年下の子を連れていくのが当たり前のはずです。いつからホタル狩りが中止になってしまったのか。テレビの普及もその理由の1つかも知れません。でも1番の理由は、ほとんどの電柱に街灯が設置されたことにあると思います。ホタル狩りは、やはり真っ暗闇でないと面白くなく、本物ではないのです。
十数年前の夏休み、まだ小中学生だった父の孫達がこの家に集まったときに、夜の9時近くにもなってから“きも試し”をしていました。どこでやっているのかと聞くと、家からかなり離れた山のふもとにある周りを畑で囲まれた神社まで行っていたのです。やはり、今の子ども達にとってもきも試しは真っ暗闇でないと本物ではないようです。
今これを思うと、子ども達の遊びが昔と変わってきてしまったのは、新しい遊びができたことばかりではなく、昔ながらの遊びをする環境がなくなってしまい、同じことをしても面白くないのです。遊びも、心底ハラハラ、ドキドキするものでないと生き残れないようです。
田舎ではめっきり少なくなってしまったホタルですが、逆に都内では見られる場所が増えてきていることは意外です。実は、私の家の近くにある百草園のある山から湧き出している小川の周辺では、何匹もホタルが見られるのですから。