夏の庭 (カーネル笠井)
8月
15日
そんなある日、クラスメートが丸グミに関する情報を持ってきたのです。その友人の親せきの家の生垣に丸グミが実っているというのです。さっそく、学校の帰りに3〜4人の仲間と一緒に出かけました。家の裏側の生垣で、下には小川が流れています。その生垣の中にまん丸くて真っ赤に実った丸グミの実があったのです。サクランボの砂糖錦よりも深い赤い色をしていたと思います。まん丸にふくらんだ宝石のルビーのようで、子供にとっても魅力的なものでした。1人10粒ほどいただき、それを持ち帰りました。そして、私の家の庭でさっそく試食です。甘い香りがし、甘酸っぱい味が口の中に広がりました。
恐らく、現在の子供達の99.9%はこの丸グミの実を見たことも食べたこともないのではないでしょうか。お菓子のグミはいろいろ食べたことがあるでしょうが、その見本となる本物の実のおいしさを知らないのは可愛そうに思います。でも、そのお菓子のグミの実を作っている会社の多くの担当者でさえ、本物を知らないのかも知れません。
そんな丸グミに最後に出会ったのは、友人と丸グミを食べた1〜2年後の私の家の庭でした。みんなで食べてはき出した種が芽生えて、何と真っ赤なまん丸い実を実らせたのです。果物の育ちやすい環境とはいえ、子供心にもビックリしたものです。
その丸グミの小さな木の横には、毎年黄緑色のすっぱい実をつける私の好きな“スグリ”の小さな木も生えていたのでした。暑い夏になると何故かあの赤い丸グミと、一緒にその横に生えていたスグリの実を思い出してしまいます。
カーネル笠井
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