プラハ 朝のカレル橋に響く鍾
5月
14日
『カレル橋』を目指して歩くと道に迷った。どうやら途中のCafé脇の道で一本間違えたようだ。そうなると、もういけない。この街にはランドマークになる高い建物は一杯あるのだが、旧市街の道からは見通しが利かないので方向がサッパリ判らない。太陽を探すことすらできない。こんなもんだろ、と曲がると想定の方向に行けず、余計に方向感がなくなる。迷路みたいなもんだが、行き止まりは無いので、どんどん深みにはまる。ありゃりゃ、このままではホテルにすら帰れんぞ。それは困るので対策を立てることにする。ん~、取り敢えず「木」を探そう。
実は『プラハ』の旧市街に入って「木」を見たのは「モルダヴ川」の並木と「シナゴーグ」の裏くらいなもの。そのどちらかに行き当たれば何とかなるって完璧な理論なのだ。
2,3回角を曲がると道の遥か先にチラッと「緑」らしきものを発見。そこを目指すと案の定、数段の階段を上って「モルタヴ川」の河岸に出た。どうも、目的の『カレル橋』の南側に出たらしい。後から考えれば、名門「ホテル ベルビュー」の脇に出たのだが、迷って大正解だった。
菩提樹の並木を『カレル橋』の塔に向かって歩くと、女性が一人で川を眺めている。行ってみれば、そこが「プラハ旧市街一番のビュースポット」だった。更に、少し行けば「スメタナ像」があった。観光本では見ていたが、今までどこに有るかわからず、探しもしていなかったので、昨晩スメタナの「我が祖国」を聴いた身としては何やら運命的なものを感じた。旅は決められたルートを歩くだけでは味気ない。
朝6時台の『カレル橋』は、閑散としたものだった。昨日の昼の賑わいが嘘のようである。「ヤンさん」の像の台座も触り放題だし、昨日は人混みで気が付かなかった対岸の「マナーストラナ地区」と「聖ミクラーシュ教会」(聖ニコラス教会)が、まさにThis is Europe.って感じで素晴らしい。
これまた、昨日は混んでいて気が付かなかったが、橋の欄干に「こっからヤンさんが投げ込まれました」プレートがあった。「ヤンさん」は、「ヤンさんの銅像」の処から投げ込まれたのではなく、ここから投げ込まれたらしい。このプレートもピカピカだったのでみんな触っていくのだろう。まぁ、趣旨からすれば像の台座よりも、こちらの方が「ご利益」がありそうだ。それにしてもチェコ人は、人を投げ落とすのが好きでしょうがないらしい。余り友達にはしたくない。
橋の真ん中で『プラハ』の空気を思い切り深呼吸したら、鐘楼が7時を告げる鐘を突きだした。