プラハ スメタナホールで「我が祖国」を聴く
5月
13日
そしてもう1つが、今年で69回を数える「プラハの春 音楽祭」だ。1946年から続けられている国際音楽祭なので、政治的な「プラハの春」よりも22年も前から行われていた「Pražké jaro」(プラチェスケ ヤロ=プラハの春)である。
1952年からオープニングはスメタナの「我が祖国」(MyCountry)と定められた。開会日の5月12日はスメタナの命日である。
ベドジフ・スメタナは、1824年の生まれ。「我が祖国」の全6作通しての初演は1882年と言われており、スメタナの没年の2年前だが既に完全失聴していたスメタナは、その演奏を聴くことは適わなかった。
チェコを代表する作曲家としてドボルザークと並んで、今でも全国民から愛されるスメタナだが、やはりその功績はチェコの各地の特色を組曲とした「我が祖国」という民族的な楽曲によるところが大きい。ミュシャの「スラブ叙事詩」は「わが祖国」に影響を受けた画家が、絵画的な「我が祖国」を目指したものと言われている。
「プラハの春 音楽祭」は、5月12日にスメタナホールでオープニングコンサートが開かれる、と何度も書いているが、本日は5月13日。実は、5月12日のオープニングはプラハの名士たちで席が埋まり庶民が聞くことができないコンサートなのだ。そこで、全く同じ指揮者、楽団、演目で翌日も行われるようになった。現在では、そのチケットも外国旅行者に買い占められてしまうので、庶民向けに3日目のコンサートが行われている。初日は別にしても2日目と3日目ではチケット価格が倍くらい違うようだ。外貨獲得に貢献している。
さて、69回目の今年のオケは「チェコ・フィルハーモニー管弦楽団」(Česká filharmonie)だ。指揮は68歳、2年前にチェコフィルに出戻ったチェコ人「イルジー・ビエロフラーヴェク」。「プラハの春」のオープニングをチェコフィルでチェコ人の指揮で聴けるのは中々に有難い話だ。
演目は「我が祖国」全6楽章 コンサートルールとしてアンコールは行われない。