チェコ ボヘミアの『チェスキースルムロフ』には連泊としたので「今日は一日、思う存分チェスキークルムロフ」だ。 昨晩からの雨が少し残る生憎の曇天模様。まず、朝食前の早朝の街に出る。観光客が増えてからだと思うように撮れないかもしれない風景を収めるため、昨晩のうちにロケハンを済ませていた『チェスキークルムロフ城』へ向かう。街中の風景はむしろ人が居た方が絵になるから後回しだ。 この時間、既に「赤門」は開かれていた。思った通り、人気は全くない。城門の掘割を覗けば昨晩には見れなかった熊が居る。何でも16世紀から堀に熊を飼っているそうだ。水堀よりも確かに怖い。城に向かって右に二頭、左に一頭。橋の下は繋がっていないので一頭の熊は孤独だ。どの熊のことだか知らないが、この内の一頭は「マリアテレジア」という名前らしい。 場内に入ると昨晩は開いてなかった扉が開いていて人一人程度の展望テラスになっている。この扉のある場内は、そこそこの上り傾斜なのだが石畳ではなく板張りになっていて、「これ大雨降ったら上から滑ったおっさんが落ちてくるんじゃね」と思わせる。 昨晩は夜目で目立たなかった城壁は明るいところで見ると結構、稚拙な感じの「だまし絵」=スグラフィット技法で装飾されている。石積みやレリーフの塑像をだまし絵で3Dっぽく見せたものだが、明るいところで見ると安っぽさの方が目につく。もう、ちょっとうまく書けないか?とも思うが、実はこの技法は「絵」というより2色の漆喰を使った「削り」による表現なので、筆などで繊細に描ける「絵」とは異なる。その意味では「だまし絵」というのは適切では無いのかもしれない。まぁ、中世ヨーロッパは暗黒の時代でいつも薄暗い中では、こんな感じで良かったのだろう。(な、わけないか) 例の塑像の橋(正しくは『プラーシュチョヴィー橋』というらしいが、これも発音出来ん)まで来ると、曇天ながらも街並みが美しく迎えてくれた。青空で雲が芸をしていれば言うことはないが、どうせなら雨にけぶるくらいのチェスキークルムロフも美しかったかもしれない。 さらに先に進むと、昨晩は、左記のテラスと同じように閉まっていた木戸が開いていて、ここが城のcafe(まだ営業はしていない)。その前のテラスこそが、数多ある『チェスキークルムロフ』の観光写真が撮られる最高のビュースポットになっていた。無粋な柵などがないのが素晴らしい。一人三脚持ち込みの気合い入った感じのドイツ風兄ちゃんと場所を分け合い多くの写真を撮る。なんか、このまま1日居てもいい至福の時間だ。 その先でお城は一回門を出る形になるが、実はこの先は城の庭園になっていて絶景テラス前の「日時計の新館」(後で知った事だが、この建物こそが『チェスキークルムロフ城』最大の見どころ『城内劇場』そのものだった)から、空中橋経由で庭園へ行けるようになっている。私は城には入れないので、外から庭園の入り口まで行ってみた。途中、ヨーロッパの田舎の風景という感じの良い感じの道だった。 「第一の広場」まで戻れば右手(「赤門」からは左手)にモルダヴ川を渡って市民広場へと通じる道への小路がある。見た感じで「スペイン坂」(命名)と呼ぶことにする。