ルネサンスの玉手箱 テルチ
5月
10日
しかし、田舎の街、いや田舎の村『テルチ』へ向かう道は当然のように田舎道。途中のチェコ第二の都市「ブルノ」まではいいのだが、そこから先は本当に田舎道なのだ。
流石にヨーロッパだけあって「すれ違うのに厳しい」という日本の酷道とような事はなく、それなりの道なのだが、周りは本当に田舎の風景。広大な菜の花畑が続いて一生分の菜の花を見ることができた。
さて、世界遺産の街『テルチ』は、当然のように一般車両が立ち入り禁止となっており、街の外に作られた駐車場からエントリーすることになる。近年、ウィーンやプラハからの1Day 観光に訪れる観光客で賑わっている。
しばらく道を歩き、小規模なペンションが並ぶエリアを抜けると、昔は街を守る掘割だったところに掛かる橋から『テルチ』の中心街に入ることになる。
エントランスからの角を曲がるとドンと開けた広場に出る。街並みがそれぞれの装飾に彩られ美しい。この街は16世紀に大火があり、街並みから3m程度の張り出しが各戸に許された事から民間による住居、店舗の装飾がルネッサンス様式、バロック様式で作られた珍しい街。他の遺産と異なり民間人の世界遺産なのだ。
頃合いなので昼食を取る。季節のアスパラと鶏肉をピルスナーで戴く。そうだ、もうチェコに居るのだ。
観光本などでは『テルチ』は、広場の家々の装飾が紹介されているが、裏に入った路地の街並みも非常に美しく楽しめる。現在、『テルチ』の中心地は非常に地価が高く、中々空家も出ない、という理由も何となく判る。
ぐるっと街並みを回っても30分程度の街。仕上げに『テルチ城』を見学する。まずは狭い通路を上り塔の上から市街を見学する。途中の鐘は「鳴らすな」と書いてあったが拳骨で音色を聴く。罰かぶるかもしれない。
塔からの眺めは流石に美しく遠く辿ってきた菜の花畑を見渡せた。
ヨッコラショと塔を降りて中庭のコリドールへ進むと、過去に映画撮影に使われたパネルがいくつも掲示されている。モノクロのドラキュラや最近のハリウッド映画まで色々と使われてきたようだ。
本当は天気も最高に良いので『テルチ』の街並みの夕景を撮りたかったが、今日は『チェスキースルムロフ』に宿を取っているので、それもままならない。
駐車場へは来た道と異なり『ドルニー門』を出てすぐに左に折れて『テルチ城』の庭園を通って帰る。観光客は、ほとんどおらず地元民が平日の午後を楽しんでいた。