『大統領府』の手前を左手に入り坂を上ると、丘の上にある『ブラチスラバ城』に着く。「ひっくり返したテーブル」と呼ばれるスクエアなお城だ。入場のチェックゲートなどは無くフリーで入ることができる。駐車場には「ドナウ川クルーズ」の観光バスが何台も止まっていた。お城を観光した後に船でランチクルーズってパターンなのだろう。 城の右手には「灰色の四角いビル」がある。これがスロバキアの『国会議事堂』である。まぁ、素っ気無い。ブダペストのハンガリー国会議事堂のイメージが記憶に新しい身からすれば、このコンクリートの四角い建物は、城の丘という場にそぐわないこと夥しい。社会主義時代に作られた建物と思い込んでいたが実際には築10年もたっていないらしい。 入り口の門を入ると、すぐ左手に小さい庭園、そのまま進めば城の城門だ。現在では衛兵などが居るわけでもなく門も開かれている。 その先が城のテラスになっている。一段高く櫓になっている所が展望デッキになっていて大勢の観光客でにぎわっている。その下が城のお土産屋になっている造りだ。 早速、登ってみれば眼下に広がるドナウが美しい。UFOレストランを有する『MOST SNP橋』が景観のアクセントになっている。 スロバキアの首都ブラチスラバは、ヨーロッパの首都に珍しく市域がオーストリア、チェコとの国境に接している。当然、ここからも両国の領土が見渡せる。3つの国を一度に見る、という感覚は日本人には当然なく、このあたりが国際化や社交性という点での民族意識の差を感じさせもする。 「ひっくり返したテーブル」の中に入ってみれば、ぽかーんと何もない。よーく見れば、隅に井戸が一つっきり。四隅を白い城の壁面が覆っているだけに、余計に「何にもない」感が強まっている。ちなみに井戸の深さは85mと伝えられている。聖マルティン教会の塔の高さと同じだ。スロバキア人は85mが好きなのかもしれない? この城、現在は純白の城壁に深橙の瓦の色が映えて美しい城だが、これは近年の大規模改修で建築当時の状況を再現したもので、その前は黄土色の壁面の城だったようだ。現在では歴史博物館として館内見学ができる。 さて、何も無い中庭は流石に何もすることもなく、そうそうと引き揚げようとすると、ドイツだかタリアの団体で来ていた爺さんがポケットからハーモニカを出して哀感のある旋律を吹き始めた。城館の壁に反射して美しい調べが響く。ん~、無茶苦茶かっこいいじゃねーか。思わず、私もハーモニカを習おうかと思う。(やりはしないが) ざっと、城のお土産屋を眺めると「トウモロコシの「皮で作った人形が名物」と教えてくれた。記念にはなるが、そういう趣味でも無いので買わずに店を出る。 外門まで帰ってきたら、門のすぐそばに場内の案内図が有った。入るときには気もせいていて気が付かなかったが、その図によると城の右手奥に、さらに庭園やテラスのようなものがあったらしい。初めての施設では、こういう物を見逃すと肝心なものを見逃すこともある。気を付けよう。 教訓:観光施設の案内板を見落とすな