『ラディソン・ブリュ・カールトン』をチェックアウトし街の散策に出る。まずは、ホテルの目の前からも鐘楼の頭を覗かせている『聖マルティン教会』へと向かう。 ブラチスラバにある各国大使館で唯一、鉄網のフェンスで囲われている米国大使館などぶらぶらと見ていると、すぐに『聖マルティン協会』に着く。 まぁ、何のことはない村にもよくある感じの教会なのだが、この教会実は何気にすごい教会なのだ。 まず、その初期ロマネスクの建築様式からも判るように14世紀の建物である。まぁ、見た目がそっけないわけだ。14世紀といえばブダペストの国会議事堂よりも300年も古い。こういう建物が、普通に残っているのが、中欧の凄いところだ。現在の内装は19世紀にネオゴシックに改装されているとの事。 その歴史的価値は、この教会が歴代ハンガリー国王の戴冠式の会場であったことである。11人のハンガリー国王と8人の王女が戴冠式が行われた。その中には、オーストリア=ハンガリー二重帝国の皇帝として戴冠したマリアテレジアも含まれている。なぜ、ブラチスラバの、この規模の教会が戴冠式の会場として使われてきたのかと言えば、昔ハンガリーが東方からのオスマントルコの侵攻を受け、敗退を続けて、この教会まで逃げ延びてきた際に、新たなハンガリー国王の戴冠式を行った故事に由来する。新しいハンガリーの国王は、この教会で生まれなければならなかったのだ。 3つ目は先の故事の象徴ともいうべき純金の冠が、その尖塔の塔頂に輝いていることである。何金製かはわからないが、一説には350kgあるという、ホンマかいな? さて、続いて中央広場(フラヴニー広場とも呼ばれる)まで戻り、『ミハエル門』へ進む。朝のミハエル通りは人通りが少なく歩きやすいが、夜の雑多な雰囲気の方が楽しい。この通り沿いには、ここで何があった、という「ここ何プレート」(命名)が張られた建物が散在している。中にはモーツァルトが6才の時に演奏会した、なんてプレートもあった。 門をくぐり、今日は左手の大統領府から『ブラチスラバ城』へ向かう。